「文壇の爺転がし」 と言われたことも…
【お悩み】
あるプロジェクトのリーダーを任されました。噂では上司が「若くて綺麗な女の子に任せよう」と私を抜擢してくれたそうで、嬉しい反面、能力だけで選ばれたわけではないんだ……とモヤモヤが拭えません。社内でも「女性活躍推進のお飾り」「若くて可愛いだけでしょ」といった陰口を叩く人もいてつらいです。(30歳・女性・野鳥好き)
私も、旧2ちゃんねるで「文壇のおじさんに気に入られてるだけの爺転がし」と書かれたり、本の感想の最後に「でも美人だからずるい」的なことを書いて送られたり。ありがたいことに実力とはまた別のところで評価をいただく機会が増えました。
私の場合は、一部の人から容姿を評価していただいているという事実以前に、そもそもルーツが多くの日本人とは違うので、自分の書くものとそれが関係ないと言うのも嘘だなと思っていて。今の仕事はそれがプラスに働いていることも事実だし、試行錯誤しながら整えてきた見た目も含めて、自分という人間を見てもらいたい気持ちもある。そこを無理に切り離そうとすると大切なものを見失う気がするので、ある程度は引き受けなければいけないと思っています。
野鳥好きさんの場合は、自分が「若くて・綺麗な・女の子」という属性によって評価されたことに違和感や悔しさを抱いている。これってルッキズムやセクシズムやエイジズムが絡み合ったもので、女性なら誰しも体験するモヤモヤですよね。
女性だからとか、若いからとか、可愛いからとか、本来は恥ずべきことじゃないことを、恥ずかしいことのように周りに感じさせられていることが問題なのだと思います。
私のおすすめは、自分の状況を俯瞰して、ある種コント的に現実をやりすごすこと。脳内でBGMをガンガンにかけて、これ言ってみたかったんだよな―って気取ったセリフを呟いてみたり(笑)。現実は簡単に変えられないのだとしたら、デコレーションしてドラマティックに仕立てて、突き進む方がおもしろい。
こういうことでチャンスを得るのは嫌だ! という潔癖さも大事ですが、身動きが取れないとしたら、自分が大事にしていたものを手放して、嵐にさらわれてみるのもいいかもしれません。
続きは「CREA」2026年秋号でお読みいただけます。
伊藤亜和(いとう・あわ)
文筆家。1996年神奈川県生まれ。noteに掲載した「パパと私」がXでジェーン・スーさんや糸井重里さんらに拡散され、注目を集める存在に。デビュー作『存在の耐えられない愛おしさ』(KADOKAWA)は多くの著名人からも高く評価された。

魔女になりたい
エッセイ集としては5作目となる本作では「現代の魔女」をドラマティックに描くという新境地に挑んだ。12篇のエッセイの合間には「わたしのはなし」と題した童話のような書下ろしショートストーリーも収録。
定価 1,760円(税込)
文藝春秋
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CREA 2026年秋号
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