「日本にいる間だけの期間限定彼女なんでしょ?」

 旅行の後、私たちは同棲を始め、一緒に過ごす時間が一気に増えた。

 その中で見えてきたのが、ビデオ通話が大好きなさっちゃんの日課。毎日一度は、家族とビデオ通話をする時間を取っていた。今日あった出来事を家族に話す彼の姿を見ていると、私もなんだか実家に電話しようかな、と思わされるほどだった。

 離れて暮らす彼の様子を心配する家族、母国の家族を気遣う彼。温かくて微笑ましい光景なのだが、私はその隣でのんびり見ていられるわけではない。通話が始まるたびに、私は部屋のどこかに隠れなくてはいけなかった。

「付き合っていても、同棲していることが家族にバレてはいけない」

 それが私たちのルールだったのだ。だから、「たまには隠れないで一緒に話したい」なんて言っても、彼は断固として首を縦に振らなかった。

 結婚を前提に暮らしているのに、彼は私との関係を家族には明かそうとしない。そんな状態が数ヶ月続き、ついに私は不満をぶつけてしまった。

「そんなに私が彼女だってこと、家族に言いたくないんだね。結婚したいって言うけど、本当はそう思ってないんじゃない? 日本にいる間だけの期間限定彼女なんでしょ?」

 勢い余って、つい要らないことまで言ってしまったと思った。きっと私は、インドのお見合い事情を調べたりして、今の状況と調べた情報を結びつけては心のどこかで一方的に彼のことを疑っていた部分があったのだろう。

 それでも、彼は冷静だった。

「インドでは、結婚前の同棲は基本的にタブーなんだ。同棲していることがバレれば、アナタの印象が悪くなるし、最悪の場合、別れさせられることだってある。もし交際していることが知られたら、今すぐ結婚するか、インドに戻るかの決断を迫られるかもしれない。ワタシは、私たちのペースでこれからの二人の関係を作っていきたいと思ってる」

 さらに彼はこうも言った。

次のページ 彼の真意がストンと胸に落ちた一言