その部屋でEさんが“見てしまったもの”
まだベッドの前に立っていた2人の従業員。
彼らの手には黒く大きなビニール袋が握られており、そこに何かを黙々と詰め込んでいるのが見えました。
そういえば、Aさんの話のビニール袋が何色だか聞いていなかったな――突然、脳裏によぎるそんな想い。
ブブッ。
部屋を通り過ぎ自室の前まで来たとき、ポケットのスマホにメッセージが届きました。
『じゃあ、そういうことだから。よろしくね』
差出人はAさんでした。
意味不明なその言葉を見たとき、Eさんの背筋に“自分は今、何かが取り返しがつかないことになる瀬戸際にいるのではないか”という直感が駆け上りました。
ここにいてはいけない。そんな思いに駆られた彼は全力疾走で階段に走り出し、上着も着ないままホテルの外に飛び出したそうです。
幸い、ホテルの近くの繁華街にはまだ明かりが灯っており、Eさんは24時間営業のファミレスに飛び込むと、そこで時間をつぶしました。
直感に従ってホテルを飛び出したのはいいものの、一体自分は何をこんなに怯えているのだろう。コーヒーカップを腕で押しのけながらテーブルに突っ伏したEさんは、先ほどの自分の異常な直感と行動に言葉にならない気持ち悪さを感じたそうです。
左手に掴んだスマホを見ようと顔を横に向けると、時間は午前3時ごろになっていました。
ブーッブーッ。ブーッブーッ。
スマホに着信がありました。慌てて体を起こして見直すと相手はAさんでした。
急激に早くなる鼓動と首筋を伝う汗。一瞬出るのを戸惑ったEさんでしたが、見て見ぬ振りもできず、恐る恐るスマホを耳に当てたのです。
「先輩、どうしました?」
「……んー、んもがぁ……あっ、がっ……」
「先輩? 聞こえますか?」
