「免許があろうがなかろうが……」

弁護人「令和5年4月に運転免許取り消しになったのに、運転してたのはなぜですか?」

被告人「まず1つ、こちらも生活があるもんですからね。内装の仕事は道具も多くて、電車ではムリなんで。それで車に乗りました」

 生きるために仕方がなかったんだと力説です。

弁護人「ETCの件ですが、どういう方法で不正通過してたんですか?」

被告人「前の車に追従する、いわゆる“カルガモ”と呼ばれる走り方で、一定の距離ならETCのバーが降りないんです」

 先行車を親に見立ててピッタリくっついて走ってたようです。

弁護人「やるようになったきっかけは何ですか?」

被告人「ETCカードがちゃんと入ってなくて、料金の請求書が届いたことがあったんです。あとで払えばいいやってのが最初です」

 最初は偶然ETCを通過できてあとで料金を支払った。それがクセになったのか、先通過の後払いを繰り返すようになって、支払いをしなくなってたそうです。

弁護人「首都高以外でもやってたんですか?」

被告人「はい、NEXCO東日本さんや中日本さんです」

 ETC不正通過252回というのはあくまでも首都高だけの数字で、実際には他にもやってると。

弁護人「昔、保育士もやってんですよね。保育士のほうは考えてる?」

被告人「別れた妻が保育園を開いてて、籍は置いてますけど、前科はつくし、親御さんにどういう影響があるのかなと、そこが不安で。働けるなら働きたいですね」

 いかにも建築関係で働いてる男性といった無骨な感じですが、保育士経験者なのでそっちの仕事も考えてるそうです。続いて検察官から。

検察官「まず衝突事故ですが、居眠りをしてたと?」

被告人「居眠りっていうか仕事が忙しくて疲れてたんでしょうねぇ。一瞬ですよ。一瞬コクっと寝落ちして、ブレーキ踏んだけど間に合わなかったと。疲れてる時に運転しちゃダメってわかってんですけどね」

 疲れてる時以前に、免許がなかったら運転しちゃダメなんですけどね。

検察官「寝落ちして事故起こしたのは、無免許運転だったってことと関係してますか?」

被告人「それは~……免許があろうがなかろうが、寝てしまってたんじゃないですか?」

 免許の有無と寝落ちに因果関係はないかもしれませんが、被告人が言うとふてぶてしい印象を受けますね。それでも憎めないのは、保育士をやってただけあって人柄の良さかも。

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