この記事の連載

ギャグ漫画家として、お互いの作品をどう思う?

 フィクション、コミックエッセイの違いはあれど「ギャグ」を本領とするお二方。ちょっとマジメにギャグ漫画について語ってみると……。

ぽんちゃん 私が漫画を描き始めたころ、つづ井さんがネットで作品を発表し始めていて。つづ井さんのことは、勝手に同期みたいに思っていたんです。初期から今までリアルタイムで作品を読んできて感じるのは、つづ井さんってすごく芯がある人なんだなと。おもしろさの軸はしっかりとあるのに、人としてすごく柔軟。人間だから考え方が変わることもあるけど、それを作品に落としこんでいて。それでおもしろさが持続しているのがすごい。読者としても作家仲間としても尊敬しているところです。なんて……遊んでるときってこういう話しないから照れちゃいますね。

つづ井 この間もいっしょにご飯食べたのに、2時間くらい角刈りの話しかしなかったもんね。このイベントの相談とかしたかったのに(笑)。

ぽんちゃん そうそう。こういう機会でもないとなかなか話せないですよね。自分も作家として描いてる中で「おもしろさ」のチューニングのしかたについては考えるところで。『つづ井さん』は、人生をともにしたい作品なので、できる限り長く描き続けてほしいです。

つづ井 「おもしろい」と思うことと、「これは笑えないぞ」と思うことのラインが近いから、お互いの作品を楽しみつつ友人としても仲よくしていただけてるのかな。チューニングが難しい中、うちらがんばってるよね……なんて思ったりして。でも、フィクションでギャグ漫画を描くってすごいハードル高くないですか? 「今からおもしろいことを描きまーす」「嘘のおもしろい話をしまーす」って宣言して発表するわけですから。

ぽんちゃん 「嘘のおもしろい話」っていい表現ですね(笑)。

つづ井 私の場合は「おもしろいと思うかはみなさん次第ですが、本当にあったことなので」っていう逃げ道がある。ギャグ漫画家って覚悟が必要ですよね。フィクションでそれをやるの、すごいと思ってますよ。

ぽんちゃん うれしい~。ほんとに同時代を過ごしながら背中を追いかけてきたつづ井さんに、そう言ってもらえて……こんなふうに話せること自体、幸せです!

【後篇】「上裸の女性が飛び跳ねながら奇声を上げて…」つづ井が『霧尾ファンクラブ』サイン会で目撃した意外な光景

つづ井(つづい)

元気で楽しそうな姿が評判を呼んでいる。2014年10月からTwitter(現・X)で公開を始めた絵日記が話題を集める。2017年、デビュー作『腐女子のつづ井さん』が「第20回文化庁メディア芸術祭」推薦作品に選出。2019年『裸一貫!つづ井さん』が「第3回マンガ新聞大賞」大賞受賞。
X @wacchoichoi


地球のお魚ぽんちゃん(ちきゅうのおさかなぽんちゃん)

ギャグ漫画家。東京都出身。代表作に『霧尾ファンクラブ』、『サボり先輩』など。『霧尾ファンクラブ』は、スピンオフ5篇と豪華執筆陣によるアンソロジーを収録したスペシャルコミックスが好評発売中。
X @bakanoakachan

とびだせ! つづ井さん2

定価 1,210円(税込)
文藝春秋
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次の話を読む「上裸の女性が飛び跳ねながら奇声を上げて入ってくると思いきや…」つづ井が『霧尾ファンクラブ』サイン会で目撃した意外な光景

2025.06.07(土)
文=粟生こずえ
撮影=山元茂樹