この記事の連載
つづ井さんイベントレポート【前篇】
つづ井さんイベントレポート【後篇】
作品がドラマ化されるって、どんな気持ち?

2024年10月に『つづ井さん』がドラマ化。そして、まさにこの4月から『霧尾ファンクラブ』のドラマが放送スタートしたばかり。自分の作品がドラマ化されることについての想いとは?
ぽんちゃん 最初に実写ドラマ化のお話が来たときの心境ってどうでした?
つづ井 私の場合、自分の経験をデフォルメして絵日記にしてるわけじゃないですか。それをさらにデフォルメして3次元に落としこむことになるんですよね。自分の日常に、ほかの人の解釈が入るわけですよね。最初はそれが理解不可能で。
ぽんちゃん 混乱しますよね。

つづ井 それで、過去にはオファーをお断りしたことがあったんです。でも、今回お話をいただいたときはおまかせしても大丈夫なような気がして。大人になったのかもしれないし、作品を長く描いてきたことでちょっとしたことでは揺るがないという自信がついたのかもしれない。今ならドラマ化を楽しめるなと思ってお受けしたんです。
ぽんちゃん 大正解ですよ。めちゃくちゃおもしろかったし、みんなかわいかった!
つづ井 ありがとうございます。『霧尾ファンクラブ』もこの水曜からスタートしましたね。もちろん見ました~!
ぽんちゃん ありがとうございます。『霧尾ファンクラブ』はまたドラマ化するにはちょっとやっかいな作品で。なにしろ原作では霧尾くんという男の子の顔が出てきません。前髪で顔が隠れていたり後ろ姿だったり。ドラマの制作にあたる方々はそういう原作の設定を尊重してくださり、役者さんも自分が顔を見せない役を演じる意味を考えながら引き受けてくださって。第1話を見て、客観的に「いい作品だなぁ」と思うことができました。すごく幸せなドラマ化だと思います。生身の人間が演じることで、原作のキャラクターとはまた違う新たな魅力が見えてくるのもおもしろいですね。
つづ井 ぽんちゃんはオリジナル、私の場合はエッセイという違いはあるけど、お互いに「ギャグ」というジャンルなわけで。当初は漫画のギャグを生身の人間がやることにギャップがあるんじゃないかと思ってたんです。それが全然大丈夫で……。『霧尾ファンクラブ』もドラマもすごくいいですよね。これから毎週楽しみです。
2025.06.07(土)
文=粟生こずえ
撮影=山元茂樹