ひとりだからこそ楽しい、マイペースな旅の様子がたっぷり描かれているおづまりこさんの旅コミックエッセイ『ゆるり 愛しのひとり旅』(文藝春秋)。
ひとり旅の魅力や、旅をしながらふと気づいたこと、今後の旅の予定についてうかがっていると、「私も早く旅に行かなきゃ!」という気持ちがふつふつと湧いてきます。(全2回の2回目。前篇を読む)
旅はそもそも「自分のため」にするもの
――本作は旅の臨場感が楽しいのはもちろん、ものの考え方にハッとさせられることが多々あります。たとえば、ひとり旅では人へのお土産を買わないとか。

これは途中で決めました。会社とかに持っていくならいいけれど……会うタイミングがないと、賞味期限が迫ってしまうことってありますよね。
――賞味期限が近づいたものをあげるわけにいかないし。「あの人にあげるならこの人にも?」とか、値段の差がないようにとか頭を悩ませることもありますよね。
あと、実際問題として持ちきれないんですよね。自分の分で精一杯(笑)。それで「ひとり旅は自分のことだけ考えればいいことにしよう」と割り切るようにしました。自分用に買って帰って、たまたま会うタイミングがあった人におすそ分けするくらいがいいと思います。そういうのは自然で楽しいですね。
ひとり旅を始めて気づいたこと
――おづさんのひとり旅は「そもそも自分のための時間」という基本的なことを思い出させてくれます。ひとり旅を始めて、何か気づいたことはありますか?
たくさんあります。まず、知らない場所に行くのが意外と好きだということ。それまでは知らない場所はこわいと思ってたんですけど。じつは未知の土地というだけで、めちゃくちゃテンションが上がるんですよ。景色や建物からも、私の知らない歴史の息吹が入ってくるようで、ものすごくおもしろい。

それから、情報収集や探索がすごく好きなんだと改めて自覚しました。昔から好きなお店の情報を調べたり、記事をストックしたりするのが大好きなんですが。調べ始めると時間を忘れてのめりこんじゃいますね。そして「次はここに行こう」「これをやろうかな」と、どんどん興味が広がってワクワクします。
――もうすっかり旅好きですね。
自分を振り返ってみると、もともと外食や喫茶店などはひとりで行くのに抵抗がないタイプでした。カラオケも。あと、長女なので、ひとり遊びが好きな子だったらしいんです。3時間くらいひとりで、もくもくと積み木で遊んでる子だったそうで。ひとり旅は、ひとり遊びの延長線上にあるのかもしれません。今は大人だから、お金もちょっと使える遊びですね(笑)。
2025.04.12(土)
文=粟生こずえ