この記事の連載

 俳優の小林聡美さんがAmazonオーディブルでの朗読に初めて挑戦。作品は、アメリカの生物学者、作家であるレイチェル・カーソンが最期に残したベストセラー『センス・オブ・ワンダー』。自然の美しさが私たちを癒やしてくれることを書いたこの作品の魅力を聞きました。また、自身と自然との関わり、エッセイストとしての自分についても語っていただきました。


30代後半に読んでいた『センス・オブ・ワンダー』

――『沈黙の春』で知られるレイチェル・カーソンさんの『センス・オブ・ワンダー』。自然の美しさを姪の息子に伝えていく、彼女の遺作ですよね。過去にレイチェル・カーソン作品を読まれたことは?

小林 最初に読んだのはやはり『沈黙の春』で、内容に衝撃を受けて、レイチェル・カーソンという作家の名前は私の心に深く刻まれていたんです。

――『沈黙の春』はたしかにショッキングな本でした。環境問題というもの自体が世間に知られていない時代に、環境に目を向けさせるような事実が書かれていて。

小林 なんでしょうね。ノンフィクションではありますが、ただのリポートとは違う、心情に訴えかける内容なんですよね。それこそ文学的な訴え方というか……。それがすごく胸に響きました。ふだん何気なく暮らす中で、そういった意識をしていないことの罪、その重大さを感じました。『センス・オブ・ワンダー』も、その後買って読みました。奥付を見たら20年くらい前の発行だったので、30代後半くらいで読んでいたことになると思うのですが。

――では、今回「この作品を朗読してほしい」と依頼が来た時は驚かれましたか?

小林 いやもう、とても嬉しかったです。

2025.04.22(火)
文=釣木文恵
写真=杉山拓也
ヘアメイク=尾花 ケイコ(PINKSSION)
スタイリスト=三好 マリコ