バリ島中部を流れるアユン川沿いの渓谷に、グリーン・ビレッジという竹ですべてができたエコ建築が立ち並ぶ場所があります。訪ねてみると、まるで小さな村となっていました。柱となる太い竹は、細い竹から何重にも重ねられ太く頑丈にしていきます。断面を見せてもらうと木の柱のようにまったく隙間なく重ねられていました。
バリ島にはニュピという、火を使うことも、電気をつけることも、食事をすることも許されない日が年に一度あります。家から出ることもできず、仕事もしません。日常生活での欲望から解放し、瞑想する意味があるそうです。ニュピの前日にはバリ島中をオゴオゴという数メートルもある大きなハリボテの人形が練り歩きます。日本のねぶたを想像してください。オゴオゴは竹を器用に編みながら胴体を作り、紙を貼って作ります。
そんなバリ島の竹林のなかで、流れる川の音と鳥の鳴き声だけを聞きながら裸足で歩く竹の家の感触は、心を裸にしてくれるようでした。
グリーン・ビレッジは宿泊することも可能です。この施設だけではなく最近は竹にこだわる建築を見るようになりました。バリ島のエコが、世界の人達に注目されてきたことを感じます。
小原孝博
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部写真科卒業。出版社勤務を経て独立。バリ島では40回を超える撮影を行い、写真集『オラン・バリ』をダイヤモンド社より出版。バリ島や江の島などにて写真展も開催。6月10日より日本橋小伝馬町のiiaギャラリーにて写真展「光の音色」を開催予定。フォトワークショップは常時開催中。
Twitter @tak_KOHARA
2014.04.17(木)