バリ島の伝統的な打楽器・ジェゴグは竹で出来ています。青銅のガムランとは違い、音は大きいけれど円やかな音で、身体の中に自然に溶け込んでくるかのようです。

  写真はジェゴグ14台で1チームの楽団を3チーム並べて演奏したものです。巨大な音が始まるとセミは鳴き止み、夕陽は遠いジャワ島の影に隠れていきました。

 ジェゴグは、第二次大戦後にバリを植民地としたオランダによって、巨大な竹は武器に変わるという理由で規制され、次第に廃れていきました。しかし、地元の音楽家のスウェントラ氏の尽力によって復活をとげ、いまや日本のみならず世界中で公演を行なうほどにまで発展しています。

 年末にはジェゴグを聴くために外国から大勢のファンが集ります。この日はスウェントラ氏の発案で、ジェゴグの生まれた村であるバリ島西部のジュンブラナ県で夕陽を見ながら演奏を楽しんで欲しいということで企画されました。普段は観光客も訪れないようなバリ西部の小さな村でお祭りの時などに演奏されますが、この日は村人の演奏もまた白熱し、最後には踊り手も観衆も一体になって踊りだしました。

小原孝博
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部写真科卒業。出版社勤務を経て独立。バリ島では40回を超える撮影を行い、写真集『オラン・バリ』をダイヤモンド社より出版。バリ島や江の島などにて写真展も開催。6月10日より日本橋小伝馬町のiiaギャラリーにて写真展「光の音色」を開催予定。フォトワークショップは常時開催中。
Twitter @tak_KOHARA

2014.04.10(木)