コムアイ うちの実家はサラリーマンの家庭なので。両親はクラシックな結婚式を挙げてるし、父親は同じ会社に新卒から定年まで勤めて、母も専業主婦で。小さい頃は、「私もお嫁さんになるんだー」と思ってたと思います。でも、放任主義だったんですよね。とにかく、自由に生きなよって言ってくれたので、生き方も価値観も変えながらここまで来ちゃったんです。

 だけど、母親になるのはすごく怖かったです。うちの母はお母さんや主婦を楽しんでいたかもしれないけど、娘として「母になるということは、これだけのことを求められるのか」「母親って、こんなにいろいろ我慢しなきゃいけないの?」みたいなものをいっぱい目にしてきて。

 私は専業主婦になりたいタイプじゃないだろうと思いながらも、どこかで「母親になる=うちの母のように生きる」と考えているのが抜けなくて。でも今はそんなの吹っ飛びましたね。改めて、親とは違う親になるんだな、と。それを見つけていくのが楽しいです。

 

太田 コムちゃんをはじめ、ある種の旧来型でない発想を持っている女性たちは、日本社会で男性と恋愛関係になったりすると、まずゼロからその人を教育しないといけない状況に立たされちゃうことが多いと思うんですよ。「え、なんで夫婦別姓とか必要なの?」とか「夫婦って、子どもの世話って、普通こうじゃない?」みたいな男性や相手の家族に対して、無理解にさらされながらも少しずつ知識を伝えていかないといけない状況に立たされることが多いと思うんです。

 僕の母親はフェミニストで、「お母さんたちは自分の人生を生きるべきです」ってことを提唱する活動もしていて。そんな母親から、いうなればフェミニスト的男子教育を受けているので、そういう状況が生じにくいかなとは思います。子供の頃は家庭教育と社会の価値観の間のギャップに苦しんだ時期もありましたけど、今は自分のバックグラウンドに本当に感謝してますね。

2024.09.13(金)
文=平田 裕介