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パンダの前ならどんなに偉い人も平等

莟玉 僕は「常に心にシャンシャンを」と思っています。クサクサしたりイライラしたりしたときにシャンシャンを思うと、ほっこりした気持ちになれるんです。パンダは生き残るために自分を変えてきた。内臓は肉食のままなのに、竹を食べるために順応しちゃう。絶滅が危惧されながら「種を残さないと」と追い立てられる感じもあまりしない。そこもガツガツせず、おっとりしたところにつながり、僕らが感じるパンダの魅力なのかなと思います。

小澤 3人ともパンダにやられちゃってますね(笑)。パンダって、耳や目、手足は黒なのに、しっぽだけ白。面白くないですか? 僕はファッションに取り入れているんですよ。キメキメなのに一個だけ外すとか。「さすがパンダだな!」と思いながら。

莟玉 パンダとのゼロ距離はまだなのでいつか……。経験ありますか?

中川 もうできないと思いますが、2007年に中国で2000元(当時で約3万円)を支払い赤ちゃんパンダを抱っこしました。ビニール製の手袋と服を身に着けるので、感触はよくわかりませんでしたが、大人のパンダは素手でさわれてゴワゴワでした(笑)。

小澤 パンダに近づくには、国家元首だろうとNBAのスーパースターだろうと、ビニールの服を着る必要がある。パンダの前ならどんなに偉い人も平等になるんです。それでまたパンダを尊敬しちゃう。かなわないなって。

莟玉 一日中、ビニールの服を着てもいいからパンダと過ごしてみたいです。シャンシャンのお腹をもふもふして。なんなら殴られてもいい。

小澤 むしろ本望かもしれない。

莟玉 本望ですよね(笑)。

小澤 僕はクマ笹のドリンクを買って飲んでいます。パンダが好きすぎて、ついに笹にまで手を出しました。

≪Panda Goods≫

パンダカラーの服でお気に入りのグッズと。
小澤さん:韓国で生まれたフーバオのぬいぐるみ。少し茶色いのがポイント。
中川さん:欧州や上野動物園のバッグ、ノートなど。
莟玉さん:上野動物園・アドベンチャーワールド・王子動物園のクッションとぬいぐるみと箱。

●今回お話を聞いた方々は……

小澤千一朗(おざわ・せんいちろう)さん

編集者・ライター。雑誌『Sb Skateboard Journal』のディレクターを務めるほか、パンダの写真集を刊行。近著に『HELLO PANDAと「楓浜とハローパンダと。」』(エムピージェー)がある。


中川美帆(なかがわ・みほ)さん

経済誌の記者を経て、国内外のパンダの生態や歴史などを取材し記事を書いている。これまでに23カ国・地域の41カ所のパンダの飼育施設を訪れた。著書に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。


中村莟玉(なかむら・かんぎょく)さん

1996年9月12日生まれ。人間国宝・中村梅玉の養子。立役も女方もつとめる、平成生まれの歌舞伎俳優。博多座での『六月博多座大歌舞伎』に出演中。6月22日より、明治座にて朗読劇『細雪』に出演。

HELLO PANDAと「楓浜とハローパンダと。」

定価 1,980円(税込)
エムピー・ジェー
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パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房
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 K-POP界のレジェンド、SUPER JUNIOR-D&Eドンヘさん、ウニョクさんをお迎えしたスペシャルインタビュ―、&TEAMJOさんと愛猫ミントの貴重な2ショット、SNSで話題沸騰中のマンガ『猫に転生したおじさん』作者・やじまさんによる特別描きおろしマンガ&シール付録など、「猫のいる毎日は。」特集は「CREA」2024年夏号でお読みいただけます。

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2024.08.30(金)
文=中川美帆
写真=榎本麻美(パンダ)、松本輝一(人物)

CREA 2024年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

猫のいる毎日は。

CREA 2024年夏号

猫のいる毎日は。

定価950円

人生に大切なことを猫は全部知っています。過去や未来ではなく、いまを生きること。必要なときに食べ、好きなときに眠ること。人に気を使いすぎないこと――。そう、猫は最高! それにしても、私たちはなぜこんなにも、この不思議な生き物に魅了されてしまうのでしょうか。1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。