吉川 こういうことを言うとまた敵を増やすかもしれませんが(笑)、アクションに関してはちょっとした自負がありますので、不安はありませんでした。もちろん求められるカラダの状態に仕上げる自信もありましたし、トレーニングや肉体改造もしました。
難しいと思ったのは心理的な大きさをどう表現するか、ということです。原作では、龐煖は身長5メートルくらいの大男に描かれていますが、あれは主人公・信(しん)の心象風景だと僕は思っています。実写映画でそれをどう表現するか、そこは悩みました。
あとは、龐煖が使う巨大な矛(ほこ)。あまりに大きくて、撮影現場で初めて見た時は、「これ、ホントに俺が一人で振り回せるのか?」と、目を疑いました。
大きすぎて振り回せる場所がないので、山中にある自分の仕事場に持っていって、周囲を気にせず振り回して練習していました。
「本気の迫力って、目に出ちゃうんですよ」
──CG加工などでは対応できなかったのでしょうか?
吉川 CGでもうまくフォローしていただきました。でも、本気の迫力って、目に出ちゃうんですよ。小手先で演じた芝居だと、どんなにアクションが上手でも、内側からの迫力が感じられない。本気で龐煖になりきるためには、実際の重みや大きさも、どうしても必要なんです。まあ、それにしてもデカすぎたけどね(笑)。
龐煖の矛は、刃先が巨大な三日月形になっているので、振り回すとうちわみたいに風の抵抗が起こります。それをいかに少なくするかが速く振り回せる秘訣なんですが、これがなかなか難しくて…。
龐煖役のため、というか、この武器を振り回すために、腕も鍛えて相当太くしましたが、全然足りませんでした。
「信たちとの戦い」と「王騎との一騎打ち」の差別化
──龐煖のアクションでのこだわりも教えてください。
吉川 前半の主人公・信(演:山﨑賢人)率いる飛信隊と戦うシーンと、後半の王騎との一騎打ちのシーンでは、アクションの見せ方を変えました。
2024.07.24(水)
文=相澤 洋美