
今年8月、大阪・中之島に、まるで“未来へ続く台湾の入り口”のような特別な空間が現れます。その名は「We TAIWAN」。台湾文化部が主催する大規模な文化イベントで、2025年8月2日から20日まで、大阪・関西万博の期間中に開催されます。
「台湾って、グルメや夜市のイメージはあるけれど、文化やアートはまだ知らないかも」――そんな方にこそ訪れてほしいのが、このイベントです。伝統工芸やアート、映画、舞台、そして食やデザインまで。台湾の“今”と“未来”をぎゅっと詰め込んだ、この夏だけの文化体験は、旅好きな人にぴったりです。

◆五感で出会う、台湾の色と音

会場のひとつ、VS.(グラングリーン大阪内)にある展示空間「台湾本色」は、台湾の自然と文化を五感で味わえるエリア。

足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、柔らかく揺らめく光のインスタレーション。淡い緑や土色、花のような赤や黄――その色は、台湾の大地や植物から生まれたものです。

「光織自然」と題された展示では、台湾の植物染めの文化に触れることができます。バナナの幹や藍の葉など、自然から生まれた染料で織り上げられた布は、どこか懐かしく、優しい風合い。手仕事の温もりが、静かに心に届きます。

奥に進むと、ふと耳に心地よい音が重なり始めます。鳥のさえずり、海の波、風に揺れる稲穂の音。夜市のざわめきやスクーターの音も混ざり合い、音で旅する「島嶼聲譜(とうしょせいふ)」の世界が広がります。

目を閉じれば、そこはもう台湾の島のどこか。観光では出会えない、暮らしの呼吸まで感じられるような、不思議な没入感です。

◆文化は、遊び心と未来を連れてくる

「We TAIWAN」のもうひとつの魅力は、台湾文化の自由さと遊び心に触れられること。大阪市中央公会堂では、伝統と最先端をつなぐ舞台や映像が披露されます。

たとえば、現代舞台作品「アイラ:中之島の出会い」は、未来から来た小学生アイラが、過去と未来、台湾と日本を行き来する幻想的な物語。人形劇とダンスが融合し、子どもの頃に読んだ冒険物語の中に迷い込んだような感覚を呼び起こしてくれます。

さらに、台湾映画の特集上映では、1960年代の懐かしい名作から、現代の感性が光る話題作まで10作品がラインナップ。上映後には、思わず台湾旅行の計画を立てたくなるはずです。

“台湾の文化って、こんなに自由で生き生きしているんだ”――そんな気づきが、心を軽くしてくれます。

◆台湾の美味しいもの、かわいいものに出会えるマルシェも
週末に訪れるなら、ぜひチェックしてほしいのが「TAIWAN PLUS 2025 台日新風」。
中之島公園にずらりと並ぶテントでは、台湾グルメやスイーツ、クラフト雑貨、デザインプロダクトなどが販売されます。
夜市で人気の胡椒餅(フージャオビン)や、台湾茶の香り漂うスイーツを片手に芝生に座れば、そこはもう大阪に現れた“小さな台湾”。
日台のデザイナーがコラボした雑貨やバッグは、思わず手に取ってしまうかわいさ。旅のお土産気分で連れて帰れば、日常の中でも台湾の空気を思い出せます。
◆変化しながら未来へ向かう、台湾の姿

イベントのシンボルとして登場するキャラクター「a‑We(アウィー)」にも注目を。
プレートの衝突で生まれた台湾島を象徴する存在で、色も形も自在に変わるa‑Weは、変化を恐れず未来に進んでいく台湾の姿そのもの。
伝統と革新、多様性と連帯。小さな島国の中で重ねられた文化は、未来に向かってしなやかに進化しています。
「We TAIWAN」は、そのエネルギーを日本に届ける“生きたショーケース”なのです。
◆夏の思い出に、文化の旅を

旅好きなみなさんなら、台湾はきっと“近くて遠い、憧れの島”。まだ見ぬ台湾の物語に出会いに、今年の夏は大阪で、一歩先の旅をしてみませんか。
色、音、味、そして人の温もり。五感で感じる台湾文化は、きっと心に新しい風を吹き込んでくれるはずです。
『We TAIWAN』
開催期間:2025年8月2日(土)〜8月20日(水)
会場:大阪市内 VS.(グラングリーン大阪内)、大阪市中央公会堂、中之島公園ほか
入場:無料(⼀部プログラムは事前予約制)
詳細は、公式サイト We TAIWAN へ。
https://wetaiwan.tw/jp

2025.08.04(月)
文=CREA編集部