琵琶湖疎水の分線沿いの銀閣寺橋から若王子橋に至るまでの、1.5キロメートルの散歩道です。哲学者の京都大学教授だった西田幾多郎が、思索にふけって好んでよく散策したことにちなんで命名されました。普段は静かな環境で外国人も多く住んでいて、散歩やジョギング等の憩いの道ですが、桜の頃は、秋の紅葉シーズンと並んで大変な賑わいです。
疎水と石畳の上を覆った桜のトンネルは、散歩道に敷かれた石畳がアクセントになり、どこまでも続くかのような錯覚に陥ります。この地の桜は、銀閣寺道に居を構えた日本画家の橋本関雪が、よね夫人発案により京都に対する報恩として大正10年(1921年)に、桜の苗木 約300本を京都市に寄贈したことが始まりとされています。
ほぼ樹齢が尽きた当初の木から、小枝を採取して育成した後継クローン苗木を植樹するなど代替わりが進んでいますが、桜並木の名称として現在も「関雪桜(かんせつざくら)」と呼ばれています。瀟洒な茶室や邸宅が残る白沙村荘 橋本関雪記念館では、庭園や作品を見学することができます。
撮影ですが、疎水を小橋の上から狙うのがよいでしょう。満開を過ぎると桜吹雪も見事なので、水面に浮かぶ花びらと一緒に写し込むと風情があります。
南の端に、御菓子司の叶匠寿庵「京都茶室棟」があり、木の橋を渡って入る店内は雰囲気満点です。甘味だけでなく昼食もいただけます。席が空いていれば是非入ってみてください。その他にも、哲学の道沿いには思わず入ってみたくなるカフェが点在しています。
哲学の道へのアクセス
交通手段 市バス「永観堂前」「銀閣寺前」下車。
小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。
2014.03.13(木)
文・撮影=小林禎弘