市街地の東を流れる鴨川は両岸のあちこちで桜を楽しむことが出来ますが、ことに美しい見どころといえば、主に2カ所に分かれます。

 まずは、高野川との合流地点にかかる出町橋から下鴨神社の西を遡上して北山大橋辺りまで。葵橋から北山大橋までの両岸は染井吉野の並木道です。西岸は巨木が多いですが、車道で車の往来があります。東岸は隙間なく桜が続き、土手道にすっぽりかぶさって桜のトンネルができます。ベンチで花見弁当をおすすめします。

 なかでも北大路橋から北山大橋までの東岸は、半木の道(なからぎのみち)と呼ばれる紅枝垂桜の名所で、昭和47年(1972年)~51年(1976年)に 植樹された並木道です。開花は遅く、染井吉野が散り終わる頃が見頃です。飛び石づたいに賀茂川を渡ったり、カモや鷺を眺めて、のんびりした時間を過ごすこ とが出来ます。夜はライトアップもされます。

 写真の撮影ポイントは、西岸の車道側から手前の桜を入れ込み、その隙間に対岸の桜並木と比叡山や大文字を入れる、東岸なら土手道をまっすぐ北へ望遠気味に。あるいは、それぞれの橋の上からカメラを北へ向け、川の流れと並木道の遠くに北山の山並みを入れるといったところでしょうか。露出はアンダー目にした方が桜が引き立ちます。

 三条大橋から四条大橋までの歩道は、かつて京阪電車が走っていたところ(今は地下)。枝垂桜と染井吉野が混在しています。桜越しに鴨川と対岸の料理屋の並びが眺められ、京都らしい風景です。団栗橋から五条大橋までは、川端通の東側歩道がおすすめです。花街・宮川町に隣接しており、はんなりした空気が流れております。夜桜の美しさはもちろんですが、実は人通りが少なく穴場です。

出町橋、四条大橋へのアクセス
交通手段 出町橋へは叡山電鉄・京阪電鉄「出町柳」駅下車。市バス「河原町今出川」下車。四条大橋へは京阪電鉄「祇園四条」駅下車。阪急電鉄「河原町」駅下車。市バス「四条京阪前」下車など。

小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。

 

2014.03.04(火)
文・撮影=小林禎弘