人気ホラークリエイター誕生の意外な過去
テレビ東京系で4月29日の深夜24時30分に放送された話題のフェイクドキュメンタリー番組「TXQ FICTION」。
その仕掛け人こそ、YouTubeで活躍するホラークリエイターの皆口大地さんだ。皆口さんといえば、チャンネル登録者数96.6万人のホラーバラエティ「ゾゾゾ」、そしてJホラー界の重鎮・寺内康太郎監督とタッグを組んだ「フェイクドキュメンタリーQ」など、令和時代を牽引するホラーコンテンツの生みの親でもある。
後篇のインタビューでは共に「TXQ FICTION」を作り上げたプロデューサー・大森時生さんを交えて、皆口さんがホラーに出会った意外なきっかけや、ホラーというジャンルへの愛を聞いた。
トラウマに突き動かされ惹かれていったホラーへの道
――「TXQ FICTION」の第1話でも切れ味のある演出が光った皆口さんですが、ホラー好きになったきっかけはなんだったのでしょうか。
皆口 実はホラー苦手だったんですよ。小学1年生の頃、ドラマ「金田一少年の事件簿」(日テレ系)の、殺人事件が起きるシーンのホラー演出を見て寝られなくなり、母にも「怖いものを見るのは禁止」と言われていました。ですが、結局その後も「奇跡体験!アンビリバボー」(フジテレビ系)の心霊特集をチラチラ見るなどして、傷跡をちょんちょんと触るようにホラーに興味を募らせていましたね。
自分が決定的にホラーの沼に落ちたのは、中学生のときに“心霊ドキュメンタリー”と呼ばれるジャンルの金字塔「ほんとにあった! 呪いのビデオ」に出会ったことですね。投稿された心霊映像を中村義洋監督の「おわかりいただけただろうか?」のナレーションとともに振り返るあのシリーズを見て、あまりの怖さにトラウマになりました。
――そこでホラー嫌いが再発しなかったのが不思議ですね(笑)。
皆口 度を越した怖いものを見ると耐性ができて、更なる恐怖体験を心が求めるんです(笑)。気づけばホラー映像作品を見漁り、“ホラードキュメンタリー”というジャンルにも手を出して、「デスファイル」という残酷な奇祭や事故映像を収めたオリジナルビデオシリーズにまで行き着きました。
加えて1999年に洋画の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を見て“フェイクドキュメンタリー”という手法を知り、これにも心を奪われました。
2024.05.07(火)
文=むくろ幽介
写真=細田 忠