vol.1_Dior
インディ・ジョーンズのように
世界を飛び回る“民族植物学者”
〈左から〉肌表面をなめらかに、膨らむハリでシワを追放。カプチュールXP セラム 50ml 15,750円、「痩せた?」と言われるほどのVシェイプ効果。カプチュール リフト セラム L 30ml 12,600円、肌色&肌の質感をリセット。カプチュール トータル ドリームスキン 30ml 12,600円、肌の上でとろけてむっちりとハリ。同コンセントレート クリーム 60ml 18,900円、洗顔後すぐ使って浄化&肌力ブースト。同ワン エッセンシャル 50ml 15,225円/パルファン・クリスチャン・ディオール
ディオールのスキンケアといえば最先端のサイエンス。私たち美容ライターの間では『ディオールを追えばスキンケアのトレンドが見える』という定説があるほど。テロメアやサーチュイン、幹細胞といったキーワードとともに革新的な製品を発表し、スキンケア界をリードしてきた。実はこれを支えているのが植物研究にあることをご存知だろうか? “科学”と“自然”って真逆なイメージだけれど、この融合こそディオール スキンケアの強み。植物由来の有用成分には並々ならぬこだわりがある。その最前線となる場所が“ディオール ガーデン”だ。素敵な庭園を思わせる響きだけれど、要するに畑。でも、どこにでもある畑とはワケが違う。並外れた特性を持つ選ばれし植物を育てるための有機的な専用の農地である。
「創設者のムッシュ・ディオールは、花は女性の次に神聖なものと考えていました。ディオール スキンケアにとって花を咲かせる植物は欠くことのできない存在。民族学と植物学を組み合わせた“民族植物学”の考え方を取り入れ、世界各地の伝統的な植物を使い方も含めて研究し、科学的に解明して有効な植物成分を開発すること。これを具体化したのがディオール ガーデンです」と話すのは、20年以上にわたってこのプロジェクトを仕切ってきたパトリスアンドレ氏。世界中の植物学者とネットワークを持ち、気になる植物があれば自ら飛び回って探索を行うディオール版のインディ・ジョーンズみたいな人。植物への熱い思いは話を聞くたびに刺激的でワクワクするが、最も印象強く残っているのが「同じ土であることが大事!」と言う言葉。
最高の土壌を確保するには
5年、10年かかることも
「植物は何千もの分子から成り立っています。我々はその分子構造や特性を分析して化粧品に応用していますが、重要なのが土なんですね。土が変わると働きが違ってくる場合があるので土壌や水質、気候などをふまえて吟味する。そして、その土地に伝わる栽培方法に従い、地域の人々と深く関わりながら永続的に取り組む。植物ひとつひとつに専門的なノウハウを持つことで、他にはない有用成分を生み出すことができるのです」(アンドレ氏)
これって由緒正しき味と香りを守るワインづくりに似ている。化粧品成分として考えれば年ごとの変動なんて許されないから葡萄の栽培より難しいはず。
「自然環境への配慮を第一に考え、人間の介入も最小限に。植物の最高の能力を発揮できる土壌を確保するには5年、10年かかることも」(アンドレ氏)
希少な植物を肌にどう効かせるか。ここからはディオール サイエンスの見せ場。
「目的や肌ニーズに合う分子はどれか。効果を出すにはどの分子を使うか。花や実、茎、葉、根などあらゆる部位を詳細に調べ、適切な抽出方法で有用成分を取り出します。分子によっては不安定なものもあるので専門的な技術を駆使してベストな処方とテクスチャーが完成します。有用成分を“ドレスアップ”させるのがディオールならではの技ですね」(アンドレ氏)
ウズベキスタンの“ジステン”、フランス アンジュの“ソヴレーヌ ローズ”……膨大な時間をかけて生まれた有用成分はディオールのエイジングケアを担うキラ星成分。「合成される成分と違い、全体の効果として狙えるのが植物の面白さ」と言っていたけれど、カプチュール トータルに配合されたマダガスカルの“ロンゴザ”はその典型といえる頼もしい成分だ。
Patrice ANDRÉ (パトリス アンドレ)
民族植物学者
ディオール スキンケアの要となる細胞分子生物学と民族植物学の連携を担うスペシャリスト。
初代カプチュールのリポゾーム技術や100%植物由来成分でボディスリミングを叶えたスヴェルトなど数多くの開発に携わる。
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2014.02.27(木)
文=吉田昌佐美
撮影=塚田直寛