ビーチはまるでハワイのよう?
吉田集落への目印は、妻良トンネル前の「海の里 吉田入口」の看板。ここから竹の密林や細いくねくねした山道を走ること、車で約15分。この時点でNTTドコモはすでに圏外(auはつながるらしいです)。この道で大丈夫かな?と不安に思う頃に、山道を抜けて、集落へと下りていきます。
この吉田の集落が、まるで桃源郷のように美しいのです。
背後をぐるりと山に囲まれ、集落を走る小道は断崖がそそりたつ入り江と続いています。護岸されたゴロタ浜に座って見る入り江は、どこかハワイのカウアイ島のよう。人工物が視界に入らないので、日本か、海外か、どこにいるのかわからなくなる不思議な感覚がします。
山の斜面の木々は海からの強風にさらされたせいか、揃って内陸へとひしゃげています。見上げると、山に囲まれた空がぽっかりと空いています。小道の脇には小川が走り、アロエがこんがらがってしまいそうな勢いで繁茂しています。
海岸から藪に覆われた小道を分け入り、ビャクシン(イブキ)の大樹に守られた白鳥神社へ。
このビャクシンは幹の太さ約4メートル、高さ10メートル、樹齢は800年といわれている県指定天然記念物。曲がりくねった太い枝が絡み合うように伸び、“ただモノではない”感が漂っています。
この白鳥神社はヤマトタケルノミコト(日本武尊)とその妻のオトタチバナヒメ(弟橘媛)を祀り、“航海安全”と“安産”を祈願して造営。安産をお祈りする時は、夫婦でおみくじを引き、子に恵まれたら小さな穴をあけたひしゃくと麻紐を手にお礼参りをするしきたりがあるとか。
2022.11.19(土)
文・撮影=古関千恵子