フランスのハイジュエリー メゾン、ヴァン クリーフ&アーペルが“自然”の美しさを称えるエキシビション「LIGHT OF FLOWERS 花と光」が京都・下鴨神社(賀茂御祖神社)にて開催中(~2022年12月12日[月])だ。

 このエキシビションは昨年の春に東京の代官山で開催された「LIGHT OF FLOWERS ハナの光」の第2弾。第1弾と同様、華道家の片桐功敦(かたぎり あつのぶ)氏とのコラボレーション企画になっており、ヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーと、花そして植物という有機的な存在との交わりが幻想的かつ詩的世界として表現されている。

季節は秋、舞台は世界遺産・下鴨神社

 「LIGHT OF FLOWERS 花と光」の展示会場は世界遺産・下鴨神社内の3か所。

 まず神社の参道、糺の森に初めの展示がある。糺の森は京都の洛中にありながら今なお紀元前3世紀ごろの原生林と同じ植生を残す太古の自然を遺す森。下鴨神社の鳥居をくぐり参道に足を踏み入れると、凛とした空気が心地よい。

 参道をしばらく歩くと右手に堆く積まれた落ち葉の山がある。糺の森の展示だ。

 落ち葉の山にはぽっかりと道が空いており、中へと来場者を誘う。左官職人の久住有生氏によるもので、土肌をくり抜いたかのようだ。

 歩みを進めると、そこには暖かな光が降り注いでいる。山の頂上には天窓が設けられており、そこから光が射しこんでいるのだ。

 「今回の展示期間は秋、一般的には物悲しい印象を受ける季節であり、終わりを感じる季節です。でも、一見終わりに見える秋や冬といった季節は、実はその次に訪れる春に向けて準備をしている期間で、季節の循環という巡りの中で非常に力強い季節なんです。

 落ち葉を透かして土の中に届く、星のような光。その光を受け、春に向けて力を蓄えるそんなロマンティックな世界を感じていただければ」(片桐氏)

 中に入り、天窓を仰ぎ見ると、糺の森の鼓動が聞こえてくるようだ。

 落ち葉の山を抜けると、そこには小川が流れている。光と花、そして水は「LIGHT OF FLOWERS 花と光」の大きなテーマの一つ。この小川は御手洗池から流れ出す御手洗川の水によるもの。神聖な神事の際にも使用される水だ。

 古くは縄文の時代から信仰されていた清らかな水と自然の森。片桐氏は「糺の森に元々あった循環。今回の展示ではこの糺の森の環境を翻訳するように意識しました」と語る。

2022.11.14(月)
文=CREA編集部