ガッレン=カッレラの生きた時代は、ちょうどフィンランドで独立の気運が高まっていた頃。「カレワラ」は古くから歌い継がれてきた民族歌謡を、リョンロットが収集・編纂し出版したもので、民族意識を大いに刺激しました。
ガッレン=カッレラは愛国心が強く、「カレワラ」を題材にした作品を多く制作し、民族叙事詩に具体的なイメージを与えました。彼の他のカレワラ作品には、人物が登場し、どの場面か具体的に分かりやすいのに対し、本作は最も抽象的で、仄めかすような表現をとっているのが特徴です。
1917年、フィンランドはついに独立を遂げますが、本作はその過渡期に描かれ、作者の愛国的な願いが強く込められたものなのです。
INFORMATION
「自然と人のダイアローグ」
国立西洋美術館にて9月11日まで
https://nature2022.jp/
●展覧会の開催予定等は変更になる場合があります。お出掛け前にHPなどでご確認ください。
2022.09.22(木)
文=秋田麻早子