木のぬくもりに包まれ、移りゆく瀬戸内の景色をただ眺めることの贅沢さ。船上の時間に彩りを添える美食でのもてなしと、瀬戸内の日常に触れる旅。
移りゆく多島美を愛でる瀬戸内に浮かぶ上質宿
◆guntû(ガンツウ)[広島・尾道]
![夕日を眺める航路など、夏から秋には全10航路が用意されている。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/0/1280wm/img_1054ae263709b52cc97a109441dccebb84304.jpg)
刻一刻と表情を変える、穏やかな海と連なる島々。ほかに類を見ない多島美と、そこで育まれる豊かな食材、四季を通じて穏やかな気候は瀬戸内のなによりの魅力。
![切妻屋根の軒下に設けられた縁側。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/1280wm/img_229c24909423cc5a1dcd5bd6d8bcf675108815.jpg)
その醍醐味を心ゆくまで味わうことができる、動くスモールラグジュアリーこそ「ガンツウ」だ。
![マリーナにあるチェックインラウンジ。優雅な空間で、すでに旅のもてなしは始まっている。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/1280wm/img_4aa5e5209c3fa0eed8bfa5f4dce7003e87772.jpg)
旅の始まりはガンツウが停泊するマリーナを一望のもとにするラウンジでのチェックインから。
大きな切妻屋根が印象的なシルバーの船体は上質な和の宿を思わせ、日本の美意識に寄り添う。
![螺旋階段が上階へと誘うエントランス。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/a/1280wm/img_aa88d2b792ab1cfbbc0d853a12f7c718167514.jpg)
漆喰と大理石のミニマルなエントランスを抜け、3階には縁側、ラウンジ、オープンデッキといったパブリックスペースが広がる。
建築家・堀部安嗣による栗や檜、杉といった木材をふんだんに使った空間は端正で、瀬戸内の島々の景色がなければ、ここが船上であることを忘れてしまいそうになるほど。
![ザ ガンツウスイートのソファルーム。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/9/1280wm/img_39f6e214791bece1bacfac87fc0038f8140776.jpg)
19ある客室も同様。大きく切り取られた窓から船首を独占する眺めを備えたザ ガンツウスイートから、テラススイートまで4タイプある客室はどれも木のぬくもりを感じさせ、旅館さながらのくつろぎを備えている。
![テラススイート 露天風呂付きのベッドルーム。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/b/1280wm/img_5b45daa9e135d37997c0ff3da1730845112555.jpg)
その印象は出航してもなお変わらない。10ノット(時速約18.5キロ)で滑るように進む船は、ほぼ揺れることなくとても静か。
![船首側に設けられた3階のオープンデッキで暮れゆく時間を過ごすのも至福。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/a/1280wm/img_eadfeff1bb66e7826c34458649116374141753.jpg)
コンパクトな客船ゆえ、陸上との距離も近く、時に人々の暮らしも感じることのできる眺めは瀬戸内海クルーズならでは。
![バスタブを備えたトリートメントルームも。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/1280wm/img_5a168f10ec995a5c49582dff7feea3bc99831.jpg)
エクスクルーシブな上陸体験も加わり、船内外ともに瀬戸内を堪能できるのだ。
2022.09.07(水)
Text=Mako Yamato
Photographs=Takashi Shimizu
CREA Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。