紅葉を見に、京都へ行こう! 京都在住の写真家・小林禎弘さんが、長年の撮影の経験を踏まえて紅葉の名所を紹介します。京都の人ならではの行き届いた観光案内、撮影指南としてもお楽しみいただけます。

【第7位】源光庵

源光庵では写真の丸い「悟りの窓」と四角の「迷いの窓」が並んでおり、見る順番があるそうだ

 源光庵は北区鷹峯にあります。かつては若狭国へと続く鯖街道の入口でした。左大文字の少し北といえば、位置関係が分りやすいでしょうか。

 鷹峯は代々の天皇が鷹狩に興じた場所で、地名もそこに由来しているようです。しかし鷹峯を有名にしたのは、徳川家康から所領を許され移り住んだ本阿弥光悦が作った、一大文化芸術村である光悦村です。光悦の死後にその住まいが寺となったのが現在の光悦寺です。寺への入り口は驚くほど狭く、本堂へ続く狭い通路が楓で覆われて大変風情があります。

 光悦寺は、光悦垣が有名です。割竹を菱形に組んだ光悦垣は今ではあちこちで見ることができますが、ここの庭ではもちろんオリジナルスタイルの光悦垣を見ることができます。伸び行く光悦垣に、真っ赤な紅葉が絡んできます。写真の構図も、いろいろ工夫のしがいがあるところです。

 光悦寺から少し斜め向かいに源光庵があります。ここも狭い入り口ですが、通路の奥に京都では珍しい丸窓を配した、小ぶりでデザインセンスの良い楼門があります。源光庵で有名なのが、伏見城の遺構といわれる血天井。それに、障子で仕切られた四角い「迷いの窓」と、この写真の丸い「悟りの窓」です。

 どちらの窓も、室内側は白壁だけで何も配さず、外の景色に見事に集中させる作りは見事です。二つの窓は並んでいるのですが、「迷いの窓」を見つめた後に「悟りの窓」を眺めるのが順番だそうです。写真は圧倒的に「悟りの窓」の方が人気です。しかし窓から見える庭の風景は、どちらにも計算されつくされた凄さがあります。

 写真を撮る場合は、窓からの距離によって紅葉の見え方がかなり違ってきます。カメラの露出をアンダーにして撮ると、満足のいく写真が撮れるでしょう。

源光庵の紅葉スポット
交通手段 市バス 北1号系統玄琢行き、「源光庵前」下車 6号系統玄琢行き、「源光庵前」下車

小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。

2013.09.24(火)