石村由起子さんの毎日には、「忙しくても、心地よい暮らしができる」ナルホドなヒントがいっぱい。衣食住あらゆるシーンからピックアップした、石村由起子流気持ちの良い暮らしの工夫どころ。まずは誰もが難しさを覚える“大人のおしゃれ”の取り入れ方から伺います。

おしゃれの見直しどき、“変える”を楽しむのが吉

活躍度の高いアーツ&サイエンスのリネンワンピース。この藍染めの服のように手仕事がデザインに生かされた服を、いつくしんで長く着たい

 大人のおしゃれブームのせいか、近ごろ友人たちから「服選び」のお悩み相談を受けることがよくあります。とくに多いのは40歳前後の「いままでの服がなんとなく似合わなくなって……」という声。わたし自身も、そうでした。元気に走りまわっていた20代、30代は、ギャルソンの丸衿シャツに麻パンツとスニーカーで、カジュアル一辺倒。それが40代になって、仕事でもあらたまったシーンが増えたし、体型もぽっちゃりしてきて「おしゃれの見直しどき」がきたんだなって思ったのです。服の好みが変わったとか、歳相応にコンサバに、という方向転換ではなく、自分の外見とライフステージのバランスが変わったことに気がついたから、でした。

 なじんだ普段のスタイルを変えるのってちょっと勇気がいりますが、経験的には、“変える”を楽しんでしまったほうが、吉とでるみたい。たとえば最近のわたしの定番服は、ふんわりしたリネンワンピースで、そういうフェミニンな服を、若いときの自分は上手に着こなせなかったなとしみじみ思うのです。歳を重ねたほうが似合う、かわいい服があるなんて、相当うれしい発見でしょう? そんな未知の自分をもっともっと知りたいから、変わるべく自分から動く。肝心なのは、動く方向です。手はじめにすべき「ワードローブの整理」については後の収納篇でお話しするとして、まず先に意識の持ちようが大事。「こんな感じの大人の自分」という、なりたいイメージの積みあげが、とても重要なキーワードになってきます。

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2013.09.30(月)
text:Reiko Oishi