「留まっていたくない」と活動の幅を広げた2017年

――『着服史』に掲載されているスナップを撮り始めた2017年は、ソロ歌手としてのデビューや、ラジオ番組「オールナイトニッポン」が始まるなど、活動の幅を広げていった年でしたね。

 この時期は「とにかく何でもやってみよう」って思っていました。自分に何ができるか分からないけど、とりあえずきた仕事は全部やってみようみたいな時で、本当に色々なことがスタートした年ですね。「留まりたくない! 動きたい!!」ってイライラしていた気持ちもあったと思います。

――「虹」や「さよならエレジー」など、菅田さんが歌う楽曲を提供している石崎ひゅーいさんと出会ったのもこの頃だとか。

 そうですね。もともと僕がひゅーいくんのファンで、彼のアルバム「花瓶の花」のプロモーションの対談に呼んでくれたのが最初だったと思います。

 ひゅーいくんって面白い人で、すぐに曲を作るんですよ。例えば僕が「こんな嫌なこと、楽しいことがあって」とかを話すと、それを「へーっ」って言いながらメモって、ギターを取り出して気づいたら歌にしていて。「じゃあその続きをしようよ」という感じで、どんどん出来上がっていくんです。

――「何か面白いことしてみようよ」という遊び心の延長で出来上がっていくところが、菅田さんの作り出すものの魅力につながっているんですね。

 仕事って基本的に受け身だけど、だからこそ能動的にやりたいじゃないですか。これが何に使えるのかは度外視で、単純に「楽しいな」とか「遊んでいたら残したいものができちゃった」みたいなものって、みんな何かしらあると思うんです。

 (仲野)太賀が僕のジャケット写真を撮ったことや、先日発売したアルバム「COLLAGE」もまさにそういう感じでできました。

技術や力のある人たちの「最高のかめはめ波」が見たい

――各々、才能を持っている人が集まって、何かが始まり出すというのが面白いですね。

 技術を持っている人がふざけると面白いんですよね、力の無駄遣いというか。みんなその力を使いたくてうずうずしているんだけど、なかなか自分の好きなように、使いたいように「かめはめ波」を打たせてもらえない。だから「ここだったら、思う存分かめはめ波を打っていいよ」っていう場所を用意すると、最高のかめはめ波が見られるんです。僕もそれを近くで見ていたいんです。

――では最後に、菅田さんの今後の展望を聞かせてください。

 今までは「こういうことを見せたい、こうなりたい」っていうのがたくさんあって走り続けてきたけど、今は一度立ち止まって、何も考えていない状態なんです。「自分のこれから」を探しているというか、この一年で次の目標を見つけられたらな、と思っています。もしかしたら「歯医者になりたい!」って言っているかもしれないし。

――その時はぜひお声掛けを。

 え、そうなったら本当に来てくれますか?(笑)

――2~3人目ぐらいの患者なら……(苦笑)。

 まぁそれが歯医者なのか何なのかは分からないですけど、今は美味しいものを食べて、朝気持ちよく起きられたらいいなという日々を送っているので、何年か後に「あの時の真っ白な時間があって良かったな」と思える自分でいられたらいいなと思います。

菅田将暉(すだ・まさき)

1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に「仮面ライダーW」でデビュー。その後は映画『セトウツミ』、『溺れるナイフ』、『あゝ、荒野』、『アルキメデスの大戦』、『糸』、『キネマの神様』、『CUBE  一度入ったら、最後』など話題作に多数出演。2017年に歌手としてデビューをするなど幅広く活躍している。現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、源義経役で出演中。映画『百花』が9月9日公開予定。

菅田将暉『着服史』


定価 1,980円(税込)
※帯・表紙カバー裏撮影:永山瑛太
ワニブックス刊
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2022.05.06(金)
文=根津香菜子
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=AZUMA(M-rep by MONDO-artist)
スタイリスト=猪塚慶太