山形県の“ハレの日の食”を堪能
山形キュイジーヌの名店7軒

厨房から発散されるフレンチへの熱を受け止める

◆Restaurant Pas Mal(レストラン パ マル)

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　カウンターの向こうで一分の隙もなく動く村山優輔シェフはまるで格闘家。

　料理も一品ごとに力強く、忘れられない存在感がある。例えば、輝くほど黒くつややかなソースを纏った“イノシシとクマの手のロワイヤル”。

　一見するとシンプルななかに、イノシシのミンチとクマの手の煮込みを、さらにイノシシの薄切り肉で巻いて構成。

　クラシックな赤ワインのソースには、カカオハンター太田哲雄さんのカカオを忍ばせて、味に深みを出す。トップにはトリュフとフォアグラを重ね、なんと贅沢な、まさにロワイヤルな味わいだ。

　一方で村山シェフはSNSでの発信にも積極的だ。オンラインでつながった全国各地、世界中のシェフと情報交換し、コラボレーションやイベントに参加することも多い。

　ひとえに、「フランス料理をもっと盛り上げたい」という想いから、どんなに忙しくてもコミュニケーションを怠らないのだ。

　広々と余白をとったカウンターでそんなシェフの包丁さばきを間近に眺めるのも、2階のテーブル席でエレガントに過ごすのも、どちらも楽しい。

文＝CREA編集部
撮影＝長谷川 潤