シェフのハムへの深い愛をワインとともに受け止める

◆Il Cotechino(イル コテキーノ)

 店の奥の壁一面のハム、ハム、ハム……。コンビニ仕様だという冷蔵庫には大量のハムやソーセージ、ベーコンなどがぶら下がったり、積まれたりしていて圧巻だ。

 こちらはまだまだ一部で、50種類以上の加工肉が仕込まれ、寝かされている。

 佐竹大志シェフは、6年に及ぶイタリア修業中に伝統的な加工肉の手法に出合い、魅了された。

 独学も重ね、帰国して東京で働いたあと、故郷・山形でハムへの想いが爆発。「食べてほしいものを全部作る」スタイルで、全国からマニアックな加工肉を目当てに多くの人が訪れるグルメ名所となった。

 コロナ下に店を移転し、お店も保存場所も広くなって、変わらず仕込みに忙しい。

 コースの最初に登場する前菜の盛り合わせに酸味をしっかりと利かせたり、自家菜園の生野菜をバーニャカウダでたっぷり供するのも、ひとえにハムを美味しく食べるための序章である。

 ここはもう、シェフの懐に飛び込んで、ワイングラス片手にハム愛を存分に受け止めるのがなにより楽しい。これもまた山形ならではの景色なのだ。

Il Cotechino(イル コテキーノ)

所在地 山形市あこや町2-1-28
電話番号 023-664-0765
営業時間 18:00~21:30 L.O.
定休日 水曜
https://www.ilcotechino.com/

文=CREA編集部
撮影=長谷川 潤