町の財産を生かした心躍る秘密基地
◆こども本の森 遠野
[ 設計:安藤忠雄、設立:2021年(岩手) ]
岩手県・遠野にある小さな商店街に建つ築120年以上の旧商家。劣化が激しかったため解体し、外観はできるだけ元の建物に近づけ建て直した。
一見、街並みに変化がないように感じるが入り口の扉を開けると、高さ4.2メートルの本棚が備えられ、1万3,000冊がびっしりと収められている。まさしくそこは、色とりどりの絵本や単行本に囲まれた、心躍る“本の森”。
安藤忠雄氏が手がけた本の施設「こども本の森」は、大阪・中之島に続き遠野が2館目。
東北復興の文化的シンボルとして震災11年目となる2021年夏に誕生した。梁、棟木、建具などは、かつて使われていたものを再利用し、古材の深い色合いが空間の味わいに。
館内を巡ると「遠野と東北」を始め13のテーマごとに本が展示され、本棚の下を通り抜けるアトラクションのような造り。
旧商家の居間を再現した場所は畳を敷き自由に本を読める憩いの場となり、新たな書物との出合いが心までも磨いてくれる。
こども本の森 遠野
(こどもほんのもり とおの)
所在地 岩手県遠野市中央通り1-16
電話番号 0198-63-3003
開館時間 9:30~17:30
休館日 水曜 ※利用時間90分の予約制
https://kodomohonnomori-tono.com/
撮影=嶋崎征弘(伝統芸能伝承館 森舞台、マルホンまきあーとテラス)、志水 隆(青森公立大学 国際芸術センター青森、土門拳記念館、鶴岡市立加茂水族館)、佐藤 亘(こども本の森 遠野)