傷だらけになった掃除機を見た男性はあきらかに狼狽しているようで、「あー」とか「うーん」と唸り声を出すだけのbotと化してしまったので、ひとまず掃除機の傷部分の写真と、むき出しのままデスクの足と一緒に運ばれてきた状態がわかる写真を撮ってもらい、会社に確認をしてもらうようお願いした。

 

 こちらとしては補償さえしてくれれば問題はないし、別にその男性がやったことだとも思っていないので、会社に確認だけしてもらえればすぐに帰ってもらいたかったのだが、ようやく口を開いた男性は「自分は運んだだけなので悪くない」「他の従業員がやったことで自分は関係ない」「自分ならこんな雑な梱包はしないです(だから自分は悪くないんです)」とひたすらに保身の言葉を吐き出すだけ。そうした自己弁護を約30分もの長尺で聞かされるのに飽き飽きしてしまい、とうとう堪忍袋の緒が切れて「こっちからすれば『誰がやったか』は本当にマジでどうでもいいので、とにかく確認して会社の担当者の方に連絡するよう伝えてください(そして帰れ)」とキレ気味に追い返してしまった。

女性というだけでナメられるの、勘弁してほしい

 世の中には、とにかく女性相手になると途端に信じられないほど無礼な態度をとる男性が少なからずいて、私自身はもちろん、周りの女性はタクシーに乗るだけでも頻繁に運転手からタメ口を使われ、「若い女がタクシーに乗るなんて良い身分だ」と言われ、セクハラをされることが少なくない。相手が客であろうとなんであろうと、自分より力の弱い「女性」と見るやいなや、こうした女性蔑視的な行動をする人間が、そこそこの遭遇率で存在している。

 男性の知人や友人からこういった類の話が出たことがないことや、男性と一緒にいるときには被害に遭いにくいことから、相手は意図的に、自分に逆らわないであろう女性をターゲットにしているのがわかる。残念なことに、女性だけを狙って体当たりしてくる男性も、女性を狙った殺人も、政治や社会から女性を排除しようとする行為も、この日本に、実際に存在している。

 少しでも女性たちが声をあげられる環境を作りたいという思いからこうした記事を書いているが、一部の男性から「被害妄想」「女だけがつらいわけじゃない」といった誹謗中傷や、「あなたをオカズに抜いています」というようなコメントが届くなど、性的な嫌がらせも少なくない。

 そのたびに辟易してしまうが、こうした弾圧によって誰も声をあげられない社会は地獄でしかないはずなので、今後も何かあるたび、声を上げ続けようとその都度自分に言い聞かせている。

2021.11.09(火)
文=吉川 ばんび