番組では佐久間が解説する。コロナ禍で現在は「コンテンツ戦国時代」に入っている。ここにきて配信が伸びているので、勝負どきだと大量にコンテンツを投下しているのだという。
「あまりにもハマりすぎちゃって…」
で、その流れで松本まりかが、Netflixが配信する韓ドラの「愛の不時着」にハマっていると告白する。ここまで聞くと多くの人は「なーんだ、やっぱりね」と思うに違いない。「愛の不時着」。韓ドラとしてあまりにベタな定番中の定番である。
「あのドラマを観るまで、わたしは人を愛したことがなかったと思った」
番組で松本はこう述べている。この種の感動をベタに言葉にした反応もいわば定番である。延々と、繰り返し繰り返し観ているという松本。何回観たかわからないとまで言う。
ところが、この後で松本は驚くような偏愛ぶりを示す。
続く彼女の言葉には、思わず耳を疑ってしまった。
「あまりにもハマりすぎちゃって、ラスト2話観てないんです」
「愛の不時着」は全16話だ。13話、14話は一度観たというが、いつも12話ぐらいでやめるのだと話す。「終わらせたくない」という気持ちなのだと語る。
「全世界の人、老若男女に受け入れられるエンターテイメント」
「普遍的なんですよ」
「人間の本質的な美しさが、画面から、その俳優の表情から、ビシビシ伝わってくる」
「すごく姿勢を正されたというか『美しく生きたい』とか『純粋に生きたい』というところを教えてくれるドラマ」
松本の熱気を帯びたマシンガントークは止まらない。
羅針盤が見当たらないコロナ禍の現代人向け
番組はこの後でそれぞれの出演者がハマっている映画、YouTubeやラジオ番組などの様々なコンテンツが紹介される。なかには「おじさんがチャーハンを炒めているだけの動画」を観てしまうなどという話も出てきて、見渡せば、映像から音声から文字からコンテンツだらけという現代社会にあって、どうやっていいコンテンツに出会うかという指標になる番組だと思った。
2021.08.28(土)
文=水島 宏明