佐久間「だから最後、あの世とこの世でいつでも戻ってこれるじゃないかというメッセージに落としているのは、(中略)長瀬さんに対しても裏方でも表でも関係ないじゃないか、戻ってこれるメッセージも暗に出しているメチャクチャ熱いドラマ」
杉浦アナが、同じく宮藤官九郎脚本のドラマ「いだてん」(NHK)が低視聴率にあえでいたことから「必ずしも(視聴率の)数字と質が比例するわけではない」として、「大豆田とわ子と三人の元夫」(関西テレビ・フジテレビ、脚本・坂元裕二・2021年)を例に出す。
佐久間「本当の大事なことは語らないまま、雑談で(話が)進んでいく。その雑談がすばらしいし、逆に言うと衝撃的なシーンがあるんですけどメチャクチャあっさり流れていく」
松本「おしゃれー」
杉浦「本当にそうなんです。ドキドキハラハラ系ではなくて、でもなぜかその世界に魅了されていって、気づいたら1話終わって満足度がメチャクチャ高いから、もう1回繰り返し、あのシーンを観に行ったりする」
テレビも配信も同列の時代へ
この話に佐久間が最近の傾向として「情報ドラマ」(「サ道」「孤独のグルメ」)もあれば「ドロドロの恋愛ドラマ」などいろいろあるとし、特に「ドロドロの恋愛ドラマ」は配信では強いと解説した。松本まりかが出演した「ホリデイラブ」(テレビ朝日・2018年)も、その典型として「今も配信強い」という。同じ人が繰り返し見たり、クチコミで広がりやすいのも理由だという。
テレビ東京でプロデューサーとして数々のバラエティ番組を成功させた、根っからのテレビ人である佐久間が出演しているのは理由があると筆者は見ている。
テレビ界も、民放のTVerやNHKのNHKプラスで見逃し視聴ができるようになるなど「配信の時代」に入っている。NetflixやAmazon Prime、ディズニープラスなどの配信プラットフォームが乱立するなかで、いかに視聴者の24時間を奪い合うのか、テレビ局も配信事業者も競争をする時代に入っている。あるいはテレビ局と配信事業者がタッグを組んで新しい番組を制作することもある。もうテレビだ、配信事業だなどと区別できない時代になりつつある。
2021.08.28(土)
文=水島 宏明