本当のことを自分の気持ちに正直に書く

―――エッセイ執筆の流れを教えてください。

 締切の1週間ほど前から、今月はこの人にしようかなと考えて、エピソードを少しメモにします。既に付き合いのある人について書くので、取材する必要がないし、実際に会って感じたことだけを書くので、楽しい作業でした。

 でも書き始めれば楽しいのに、パソコンを開いて文章を打つまでが、宿題みたいなところがあって腰が重い。だけど、宿題みたいな仕事が一個あってよかったです。

 テレビの仕事は多くの人がかかわる仕事で私は歯車のひとつとして参加させてもらっている感覚です。対して題材から構成に至るまで自分で決めるエッセイはやはりこういった楽しさもありますね。

 書いた文章を編集者に渡す前に、事前にだれかに読んでもらうということはしていませんでした。うーん、理由としては、全部本当のことだし、自分の気持ちに正直に書いているからかな。

―――エッセイの中に、京都や沖縄の久高島へのひとり旅の話もでてきて、新しいひとり旅の楽しみ方を提案してくれていますね。

 ニューヨークも金沢もひとりで行きました。ひとりが好きなんです。

 30歳を越えたら行きたいと思っていた高級温泉も“ひとり「星のや軽井沢」”で実現しました。あそこは部屋ごはんじゃないんです! だから、ダイニングでコース料理をたったひとりで食べました。

 いつもより味わいを感じられたり、お店の人にも気を遣ってもらってお話できたり、ひとつ大人の階段を上った感覚です。「ひとりフルコース」ができたら何でもできると思いましたよ(笑)

――――2019年にご結婚されたので、ひとり旅に行きにくくなったのでは?

 今はソロキャンプもしたいと思っています。それをよしとしてくれる夫なんです。だから相性がいいんじゃないかなぁと勝手に思っています。

 「行ってきな」と言ってくれるので、そこがいい。旦那も「ソロキャンプしたい」と言っています(笑)。

2021.01.16(土)
文=CREA編集部
写真=松本輝一