【KEY WORD:中国共産党】
中華人民共和国の政権政党。1921年に陳独秀(北京大学文科科長)や李大釗(北京大学図書館長)、毛沢東(元北京大学図書館司書)らが中心となって結成。5年に1度開催する全国代表大会と、ほぼ年1回開催する中央委員会によって、国の指針を決定する。略称は中共(ちゅうきょう)。
一党独裁の内実は叩き上げVS.サラブレッドの権力闘争
中国というと、中国共産党という秘密のベールに守られた一党独裁政権が13億の人民を支配する一枚岩の巨大社会主義国、というイメージを持っている人もいるでしょう。でも実態は、何十年間も共産党内部での苛烈な権力闘争が繰り広げられ、危ういパワーバランスが保たれている状況。決して盤石ではないのです。
共産党には「共産主義青年団」という叩き上げ集団と、古くからの党幹部の子供たちで構成される「太子党」という二つの派閥があり、両派閥は激しく対立しています。現在の最高権力者である胡錦濤総書記は、前者の叩き上げグループ。そして11月に開かれる中国共産党第18回全国代表大会で総書記に選ばれることが決まっている習近平さんは後者のサラブレッドグループです。
このサラブレッドグループは、胡錦濤さんが進めてきた改革開放路線を「格差が広がった」「外国に対して弱腰だ」などと批判し、「毛沢東の時代に戻れ!」と主張しているのです。政権交代して習近平さんが最高権力者になれば、日本への姿勢もさらに強まる可能性もあるわけです。
さらに中国社会では実際にひどい格差が広がっています。先ごろ反日デモが起きて在中日本人が震え上がる事態となりました。でも実際にはこの暴動のようなデモに参加していたのは、職を得られない若者や、地方から出てきた出稼ぎ農民の二世といった社会の最下層の人が中心で、中産階級や富裕層は冷ややかな目でデモを見ていたようです。加えて経済成長は急減速し、今後の経済がどうなるのか、誰も予想できません。
こういう二極化と不安定化が進んでいく中、一党独裁の仕組みを保ち、かつ政権の内部で厳しい闘争に勝って、リーダーシップを執っていくのは容易ではないでしょう。
きわめて強い大国なだけに、日本も彼らとどう付き合っていくのかを慎重に見きわめていかなければなりません。単に「尖閣諸島を守れ!」と中国との対立を叫んでいるだけでは何も得るものはないでしょうね。
2012.11.07(水)