設計した人はどんな人? ヒントは「白い花の遺伝子」か

 最後に、あつ森遺伝学を設計した人はどんな背景の人だろうか、と想像します。

 気になったのは、ゲーム内の白い花の遺伝子です。

 ゲーム内では、白い花と白い花を交配させると紫色の花が4分の1の割合でできることから、白い花の遺伝型はWWとWw、紫色の花の遺伝型はwwであると推測されます(この部分は、具体的なメンデル遺伝の仕組みに関わってくるので、ご興味ある方は生物の教科書か、あつ森の攻略サイトを見てみてください)。

 しかし、リアルの世界では、大抵の場合発色がないことで白になるため、Wwで白が顕性(昔の言葉では優性という)になることは少ないのです。

 これを見て「おや」と感じ、かつて高校の生物図説に書いてあった、カイコの「抑制遺伝子」が頭をよぎりました。

 カイコの白い繭はほとんどの場合潜性遺伝ですが、例外が存在します。白い繭を作るカイコの中でも「抑制遺伝子」を持つものは、色付きの繭を作るカイコと交配すると次世代(Ww)が全て白い繭を作るカイコになるのです(さらに調べてみると顕性白毛という脊椎動物のもありました。)

 また、植物の交配にしては一世代の時間が短すぎるのも気になります。ゲームバランスのためでしょうが、昆虫のライフサイクルに近い速度感を感じます。

 このことから、あくまで妄想ですが、あつ森遺伝学の設計には、昆虫で遺伝学実験をした経験のある人が関与しているのではないか、と想像しています。

 私が大学院生のときに昆虫研究者を目指してショウジョウバエの遺伝学をしていましたので、そのときのドキドキハラハラに似ているのです。

 組み替えたはずの遺伝子がハエの表現型に見えない、死ぬはずの遺伝子を入れたのになぜか生きている、あるはずのない交配結果が見えてくるなど、実験は毎週、そんなドキドキハラハラの連続でした。

2020.06.07(日)
文=佐伯真二郎