絵画の中の女のような
空気感を持った仕上がり
そして、ポーラのディエム クルール カラーブレンドファンデーション。美しい色とりどりのコラージュに目を奪われるが、これをブレンドするとちゃんと人肌色になる。一般のファンデーションと同様、4色の肌色を全てこのパターンで用意しているのだ。
じゃあなぜこんな手間のかかることをしたのか? 絵画の世界には、スーラの作品に代表される点描画という手法があり、肌色をいきなり肌色として表現するよりも、肌色を構成する要素となる色を点在させたほうが遠目に透明感ある美しい肌に見えるとされる。まさにこの点描の手法を取り入れたのだ。肌色の粉体よりも、こうした4色の粉体を肌の上で細かく点在させたほうが、より肌がきれいに見えるという計算。とても理論的かつ機能的なモノづくりだが、同時にこれは女性の肌をとてもドラマチックにエモーショナルに捉えている証なのだ。
まさに画家の目を持って女性の肌を見つめたから、ベタな肌色の単色では表現したくなかった。女性の肌を、もっと気配の美しさを含んだ形で表現したかったからこそ、この製品をわざわざ作ったのではないか。だからどこか絵画の中の女のような、空気感を持った仕上がりなのだ。
ついに化粧品も、感性で選ぶ時代が来てしまった。行間を読むような色作りができるブランドと上手に出合ってみてほしい。
齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。近著に『されど“男”は愛おしい』(講談社)がある。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2018.04.28(土)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史