#129 Pohnpei
ポンペイ(ミクロネシア)
浦島太郎の伝説も残る謎の遺跡
“ポンペイ”と聞くと、イタリアの古代都市を思い浮かべるかもしれません。こちらはグアムの東南東約1700キロ、ミクロネシアの島。地元の言葉で“石積み”という意味から名付けられました。イタリアからは遥かに離れていますが、この島にもかつて海に浮かぶ都市があった、という点では、不思議なつながりがあるかもしれません。
ポンペイ島の南東沖のチャムエン島にあるナンマドールの遺跡は2016年、世界遺産(同時に危機遺産にも)に登録された、謎多き遺跡です。
80万平方メートルにわたって、六角柱や八角柱の玄武岩をびっしりと並べた面を、縦横交互に積み重ねた92の人工島が、浅瀬に点在しています。これはポンペイ島を支配していたサウテロール王朝時代の水城で、それぞれの島ごとに、儀式の島、王の住居、貯蔵の島、埋葬の島と、役割が分かれていたそうです。
まるで機械で正確にカットしたような玄武岩の柱は、火山活動によって生まれた柱状節理ゆえの形なのですが、当時の人々にとっては神業に思えたことでしょう。
ただ、疑問が残るのは、玄武岩が島のあちこちから運ばれているということ。そして何トンもの重量のある柱をどのようにして運んだのか?
ナンマドールの遺跡は西暦500年頃から1000年かけて建造されたという見立てがある一方で、魔法によって一晩で建てられたという伝説も。また、浦島太郎がここにやってきたという伝説も、地元には語り継がれています(年代的に合わないというのが、もっぱらの説ですが)。
2017.07.29(土)
文=古関千恵子