●常盤「Kamakura 24sekki」
心もカラダも元気を取り戻していく
麹酵母を使ったパン
店名の由来は、中国の暦が起源である二十四節気(にじゅうしせっき)。4代続く福井の味噌屋さんの蔵についた麹菌を自然栽培玄米につけた蔵つき麹を使って作るパンは、どこか懐かしく心とカラダに染みいるおいしさ。パンもカフェメニューも原材料には肉・魚・乳製品は一切不使用。乱れた生活のリセットに訪れたい、パン&ヴィーガンカフェをご案内。
店主は瀧澤智美(たきざわ・ともみ)さん。マクロビオティックの魅力を知り、季節と自然の暦に沿った食の大切さを提案するお店を開きたいと思ったとき、自然が豊かで住んでいる人のライフスタイルもそれに近いこの地を迷わず選んだそう。パン屋を目指すきっかけとなったのは、麹酵母との出合いだった。
「友人の紹介でとあるパン屋を訪れたら、麹酵母でパンを作っていて。口に含んだときの、芳醇な香りと奥ゆかしい旨み、どこか懐かしい味わいに感激して、これでいこうと。パンに砂糖や甘味料を入れなくても甘みを感じるのは、麹酵母のおかげですね」
メニューは陰陽五行の概念に沿って考案される。それは、旬の食材を取り入れるというシンプルな考え。人間も自然の一部。旬のものを選べば、季節によって人間のカラダに必要な栄養や効能をもつ食べ物を自然と摂ることができる。「春は苦みを味わう季節です。苦みのある食材が多いですが、それらは冬にためたものを排出してくれます。デトックスも促され肌にもいいですよ」
自然のエネルギーをもらえる、季節の食材を使った新作2品を教えてくれた。
お店の人気商品のひとつであるマフィンも春仕様で登場。無農薬の夏みかんで作った自家製マーマレードの苦みと酸味と、オーガニックのいちごの酸味が重なって味に奥行きが。オーガニックのピーカンナッツが入っていて食感も楽しい。ベーキングパウダーは一切使わず、麹酵母だけで発酵。大豆の粉も入れているのでとてもヘルシー。
乳製品を一切使わないピッツァ。オーガニックブラン入りのパン生地に具材とベジチーズをトッピング。豆乳ヨーグルトをベースにした自家製ベジチーズは、温めるとさながらチーズのようにとろけて風味が増す。春は芽吹きのパワーを食べるのによい時期で、筍はまさにその象徴だとか。
カフェメニューの一押しは、サンドイッチ&スープのセット。サンドイッチは定番の2種と季節の1種の計3種のラインナップ。写真は、自然栽培野菜とクリームチーズ風酒粕ペーストに、大豆の発酵食品であるテンペをお肉代わりにサンドしたもの。スープは、無農薬・無施肥の自然栽培野菜がたっぷり使われている。豆と雑穀も入って食べ応えもばっちり。一緒に食べて、自然のめぐみでパワーチャージを。
もともと鎌倉が好きでよく遊びにきていたという、店主の瀧澤さん。「以前は、都心でとても忙しい日々を送り、食生活も乱れていました。ひどいときは立っていることさえ辛いときもあったけど、長い時間カラダを動かす今の方が元気です。季節の暦に沿って自然のものを取り入れる食生活を続けたたまものですね。身を以て感じた“食の大切さ”を、パンを通して伝えていくことができればうれしい」
こだわり抜いたパンを作るため、営業は金・土・日の週3日間のみ。その人気から通信販売も一時ストップしているそう。それでもわざわざ通いたくなるような力強いパンがここにはある。
Kamakura 24sekki
(ニジュウシセッキ)
所在地 神奈川県鎌倉市常盤923-8
電話番号 0467-81-5004
営業時間 11:00~17:00 ※カフェ11:30~16:00(L.O.)、サンドイッチのオーダーは15:00まで
定休日 月~木曜
http://24sekki.p1.bindsite.jp/
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2017.04.22(土)
文=吉村セイラ
撮影=平松市聖