アートの街が挑み続ける歴史への果てなき問い

 壁崩壊から37年を経た現在もなお、むしろより積極的に、自国の歴史と社会に対してクリティカルな表現を続けるベルリンのアーティストたち。

「単に美化するのではなく、その暗部にも目を向けることで、異なる視点を通じて新たな側面が見えてきます。アーティストがその扉を開いてくれるのです。アートとは、物事をより鮮明に捉え、より深く理解するための“認識の装置”のようなもの。私たちが生きている時代を理解させてくれることこそ、アートの役割なのです」

 と、ラインハルト氏は話す。多様な視点と多様な表現を通じ、自由に議論し合うことで国のあるべき姿を模索する。終わりなき問いを未来へと繫いでいくアートの街、ベルリン。最後にそんなベルリンでのアートの楽しみ方を彼女に尋ねた。

「まずはやはり古典的な美術品を収蔵する絵画館や博物館島など、ハイライトとなる名所ですね。次に、現代アートのシーンや施設に目を向けてみてください。それこそが今日のベルリンという街を形作っているものですから。さらに、私が館長を務めるゲオルク・コルベ美術館など、少し趣向をこらした美術館にも他にはない特別な魅力があります。まずは偉大な文化遺産に触れ、現代アートを巡り、そして、隠れた名所のような特別な場所へと足を運んでみる。ベルリンではぜひその3つのポイントに注目してみてください」

ルッツ・ヘンケ氏(Lutz Henke)

キュレーター・文化研究者。ベルリン観光局(visitBerlin)文化部門ディレクターとして文化政策や国内外での多彩なプロジェクトを主導している。

カトリーン・ラインハルト博士(Dr.Kathleen Reinhardt)

美術史家・キュレーター、ゲオルク・コルベ美術館館長。現代美術、ポスト社会主義圏の文化・記憶、歴史認識と芸術の関係を主な研究テーマとする。

CREA Traveller 2026年秋号
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