江戸から明治期の歴史的空間に浮かぶ妖怪提灯の妙
会場の入口となっている「家政局」や、立花家の迎賓館として建てられた白亜の建物「西洋館」も会場のひとつ。電気の通っていなかった時代に自家発電所を設け、輸入品のシャンデリアや電気器具を使っていたのだとか。そんな明治の異国情緒と江戸の妖怪画が混ざり合う不思議な空間には、和室とはひと味違う、濃密な空気が漂っていました。
展示を巡って感じたのは、提灯は闇を照らす道具である一方、光の届かない深い闇を意識させる道具でもあるということ。強い照明で空間を明るく見せるのではなく、あえて闇を残しているからこそ、和紙の内側からにじむ灯りが、生き物めいて見えてくるのかもしれません。
「提灯の絵はもちろん、造形や灯り自体も楽しんでいただけたらうれしいです。日本の灯り文化は、和紙のようなものを通した淡さ、不確かさにある。それを美しいと感じられる美意識を、次の世代にもつないでいけたらと思っています」(伊藤さん)
