なぜかいつも人からマウントされてしまう――。そんな人には、本人が気づかないうちに相手の「マウントスイッチ」を入れてしまう共通点があるのかもしれません。
脳科学者・中野信子さんの著書『ロンドン紳士と脳科学に学ぶ 品格のあるマウントの取り方』(日経BP)より、マウンティングが生まれる背景と、人が相手を判断するときの脳の仕組みについて、一部を抜粋してお届けします。
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「マウンティングされやすい人」はどういう人か
マウンティングという名の野生の儀礼において、標的になりやすい人には共通する特徴があります。
それは「この個体は攻撃しても反撃してこない」「リスクが低い」という誤認を促し、相手の脳内にあるマウントスイッチを入れてしまう信号として機能してしまう装いや振る舞い、話し方などです。
脳科学と行動心理学の視点から、その特徴を解剖してみましょう。
まずは見た目と装いです。記号の欠如と過剰な同調がその要素です。マウントをとる側は、相手の装いから社会的コストを瞬時に計算します。
無難すぎる、または保護色のような服は高リスクです。周囲に溶け込もうとするあまり、個性を消した無難すぎる服は、相手に「意志が弱い」「他人の目を極端に気にしている」という印象を与えかねません。
さらに、「とりあえず」のファストファッションもこれに拍車をかけます。全身が安価な既製品だけで固められ、手入れ(アイロンや靴磨き)が行き届いていないとき、それは「自分を大切に扱っていない」というメタメッセージになり、相手の「軽んじる心」を作動させてしまいます。
流行への過剰な同調もよくありません。「今これが流行っているから」という理由だけで選んだ服は、自分の軸がないことを露呈してしまいます。マウントをとる側は、自分独自の審美眼を持たない人を嗅ぎ分けて、格好の標的にします。
また、振る舞いですが、身体表現において、マウンティングを招き寄せるのは「萎縮」のサインです。
身体を小さく見せる動作である、猫背、肩をすぼめる、膝を閉じて小さく座る。これらは霊長類の行動における劣位の動作です。相手に「私は貴方より下の存在です」と無意識に宣言し、マウントしてくださいと言っているようなものです。
相手の目を見られず、すぐに視線を逸らしたり、キョロキョロと周囲をうかがったりする動作もよくありません。これは、不安の表れと見なされ、相手に「支配の隙」を与えてしまいます。
相手の話に対して、食い気味に何度も深く頷く行為。これも「嫌われたくない」という不安や、それを回避しようとする心の表れであり、相手を「支配する側」の位置に誘導してしまいます。
言葉は、言葉そのものより、その出し方に隙が生まれます。語尾の消失と疑問形に気をつけましょう。「~だと思うんですけど……」「~じゃないかなって……?」と、語尾を濁したり、確信がないように語尾を上げたりする話し方。これは相手に論破の余地をプレゼントしているのと同じです。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、「間」を恐れるマシンガントークもよくありません。
反論や沈黙が怖くて、早口で喋り続けてしまう。相手に話をする隙を与えない。これは極度に高い緊張の証拠です。余裕のある強者は、沈黙を恐れません。ネズミはチョロチョロとせわしなく動き回りますが、ライオンは(狩りのとき以外は)ゆっくりと歩きます。間を「自分のターン」として使いこなします。
過剰な謙遜と謝罪も避けたほうがよいものです。「私なんて」「すみません」を枕詞に使う癖。これは自らマウントの台座を差し出しているようなものです。マウントされにくい人は、決して安売りするような謝罪は口にしません。
