「マウントをとるほうが悪い」と決めつけない
たとえば、自分の話で恐縮ですが、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系列)という番組に出演した際のことです。
高学歴の人は難しい表現を使って頭の良さをひけらかしてくる、という趣意の特集があったのですが、その中で、自分は難しいとは思わずつい難解とされる表現を使ってしまって、笑いのネタになったことがありました。
例を挙げればキリがないのですが、「ディスられた」というカジュアルで俗な言い回しは、やや皮肉っぽい使い方をしてよければ「ご高説を賜った」といった表現になるでしょう。
「バズってる」は「人口に膾炙する」、「黒歴史確定」は「沽券にかかわる」、「ガチ対談」は「膝を交える」、「まじでごめん」は「ご寛恕ください」、「考えすぎ」は「杞憂」、「〇〇ガチ勢」「〇〇界隈」などは「一家言ある」……。
直接的な言い換えでなく、文脈を読んだ上での翻訳のようなものですから、その部分でも二重に知が試されてしまうわけです。もちろんただ相手の自信を削り、敵意を煽ることが、人生においてプラスになることはほぼありません。
ただ、これを「持てる者が自分よりも格下の相手をいたぶるのはよくない」と安っぽいきれいごとで片付けてしまうのはもったいない話でもあります。
受け手の心に自信がないのは、貴方のせいではありません。果たして「自信がない相手」の持つネガティブ感情を、すべて貴方が背負う必要があるでしょうか。
相手が勝手に貴方と同じ土俵に立ち、勝手に比較し、勝手に自己嫌悪に陥る。それは相手の脳内の問題であり、貴方が自分の幸せを制限したり、事実を隠蔽したりしてまで付き合ってあげる義理はありません。そこで悠然と振る舞い、格上であることを思う存分見せつけてなお、相手のひがみや妬みに対して堂々としていられる。そのことこそが、品格あるマウントの基本でしょう。
自分がマウントをとってしまっているのではないか、と怯えるよりも、「不満があるなら、貴方も同じ場所までのぼっておいでなさい」と穏やかに微笑んで突き放すこと。品格を保つには、静かに冷たく心の距離をとることです。
» 続きを読む:“なぜかマウントされやすい人”には共通点が…脳科学者・中野信子が解説する《見た目・振る舞い・話し方の特徴》「人は外見で判断しない」は幻想?

ロンドン紳士と脳科学に学ぶ 品格のあるマウントのとり方
定価 1,540円(税込)
日経BP
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)
