◆16位『どちらかが彼女を殺した』
独自の捜査で絞りこんだ容疑者 犯人は一体どちら

●あらすじ

和泉康正の妹が、自殺を偽装した形で殺害された。独自に捜査を進めた和泉は容疑者を二人に絞りこんだが……。(講談社文庫)

読者の誰もが驚いた 犯人当て小説の極致

 最初に読んだとき、誰もがしびれるほどに驚かされた作品だ。だって、最後まで読んでも犯人の名前が書いていないのだから。探偵と同じ情報を読者には提供した。だから、よく考えれば真相は読者にも判るはずだーー。そうした作者からの挑戦によって、結末における種明かしなしという、驚異の構成が実現したのである。さすがに文庫版では、ヒントのための解説が追加された。しかしそれも袋とじなので、封を切らないと読めない趣向である。どこまでも凝った、楽しい一冊だ。

 謎解きミステリーの極北といってもいい本書では、真犯人の名前を指摘するために注意深い読者でいるための努力を払う必要がある。文章の端々まで玩味して、真相にたどり着こう。

【読者からの声】

■読者に謎解きをさせる構成が面白い(23歳・会社員)

■今でも犯人がよく分かりません(笑)(35歳・主婦)

■読んだ人がいろんなふうに結末をとらえられるという面白さと、考えるという読者を巻き込む方法がとてもユニークで、納得いくまで何度も読んでしまった(40歳・非常勤講師)

◆17位『悪意』
犯人が隠した殺人の本当の動機とは

●あらすじ

作家の日高邦彦が殺害された。逮捕された犯人が動機を隠そうとすることに、加賀刑事は不審の念を抱いた。(講談社文庫)

動機の問題を突き詰め 驚愕の真相へと導く

 動機の問題を、突き詰めた作品である。犯人と容疑者の手記が交互に示される構造は単純にも見えるが、かえって真相の驚きを増す役割を果たしている。

【読者からの声】

■とにかく怖いなと思ったし、けっこう現実的(22歳・学生)

■後味の悪さが好きです(30歳・主婦)

◆18位『赤い指』
息子を守るため、父親が下した意外な決断とは?

●あらすじ

前原昭夫が帰宅すると、庭に少女の死体が転がっていた。息子の仕業ではないかと疑った昭夫は非情な決断を下す。(講談社文庫)

老人介護をテーマにした 社会派長編サスペンス

 じりじりするようなサスペンスの中に謎の意外性を溶かしこんだ、東野圭吾ならではの長編小説だ。老人介護など、緊急性の高い社会問題をテーマとして採り上げている点も評価したい。

【読者からの声】

■東野作品はいつも現実問題を私たちに投げかけてきます(25歳・学生)

◆19位『私が彼を殺した』
自白する容疑者たち 犯人は一体?

●あらすじ

結婚式当日に毒殺された流行作家・穂高誠。3人の容疑者たちは口々に呟いた——「私が彼を殺した」と。(講談社文庫)

覚悟して読むべき! 難易度の高い犯人当て

 もっともマニア度の高い東野圭吾作品。最後まで犯人の名前が明かされないという構成は『どちらかが彼女を殺した』と同じだが、謎解きの難易度は遥かに高い。覚悟して読もう。

【読者からの声】

■読者に考えさせる方法が、とてもユニークだった(47歳・主婦)

20位『十字屋敷のピエロ』
殺人劇の一部始終 見届けるのはピエロのみ

●あらすじ

竹宮一族が住む十字屋敷で殺人劇が繰り広げられる。一部始終を目撃していたのは、ピエロの人形だった。(講談社文庫)

目撃者はピエロの人形? 遊び心の詰まった実験作

 新本格ミステリーブームを先取りし、謎解きの意外性に徹した意欲作だ。東野圭吾版館ミステリー。アイデアの宝庫といえる本書には、作者の遊び心が詰まっている。実に楽しい一作だ。

【読者からの声】

■ピエロの視点で描かれていくので、なかなか見抜けない(34歳・主婦)

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