◆2位『容疑者Xの献身』
天才犯罪者・石神と湯川の哀しい対決
●あらすじ
花岡靖子は、離婚した前夫につきまとわれ、思い余って殺害してしまう。放心する彼女の前に現れたのは、アパートの隣室に住む石神だった。意外なことに石神は、靖子の犯行の隠蔽工作に協力するという。(文春文庫)
10年に一度の傑作! 驚愕と感動のトリック
発表された瞬間にミステリー読みたちが「今年のベスト1はこれしかない」と叫んだという10年に一度の大傑作だ。2位という結果は妥当そのもの。現時点での作者の代表作である。
本書の魅力は、石神哲哉という主人公がヒロインによせる献身的な愛情、探偵である湯川と犯人の石神の間に存在する友情、その2つの心の動きが、ミステリーのプロットの中に完全に溶けこんでいることにある。謎が解けた瞬間に人間関係の真実が見える構造になっている。驚きと感動がほぼ同時に訪れるのだ。普段は冷徹な論理機械にしか見えない探偵ガリレオこと湯川学が深い苦悩を見せる場面も読みどころである。
使われているトリックについては、いくら賞賛してもしきれない。石神が、愛する者を守るためにはじき出した計算結果は、凡人の思考を遥かに超越したものだった。ここまで人間は人間を超えることができる。真相を知ったとき、戦慄と感動とが同時に読者を襲うはずだ。
【読者からの声】
■最後は涙なくしては読めませんでした。人をここまで愛せることの素晴らしさに感動(32歳・会社員)
■たいていの話は途中で結末が見えてくるけど、これは本当に最後までわからなかった!(42歳・会社役員)
■人物描写も細かく、どっぷり入り込めた。犯人をつきとめる過程でのガリレオの苦悩という人間的な一面もかいまみられてよかった(33歳・医療事務)
■天才の考える素晴らしいトリックと、科学者湯川の推理が冴えている(40歳・会社員)
■とにかく心がふるえ涙が止まらなかった一冊。自分を重ねてしまった(29歳・アパレルメーカー勤務)
■原作を読んで、思わず映画を見に行ってしまいました。最後のシーンでは、思わず震えてしまうほどの衝撃を受けました(33歳・化粧品メーカー勤務)
■あまりに衝撃的だったトリック。想像を超える犯人の愛に、絶句してしまった(27歳・会社員)
◆3位『手紙』
犯してしまった罪 家族が背負う代償とは
●あらすじ
武島直貴の兄・剛志は、強盗殺人の罪で服役中だ。その兄から送られてくる手紙が直貴の人生を狂わせる。幸せを摑もうとするたびに「強盗殺人犯の弟」という逃れられない運命が彼の前に立ちふさがるのだ。(文春文庫)
二度は読めないほど、心に残る人間ドラマ
3位に選ばれたのは、派手なところはないが、しっかりした人間ドラマが展開される作品である。作中の人間関係は単純極まりなく、奇抜なトリックが使われるわけでもない。主人公の兄弟についての関心だけで、読者を牽引していってしまう作品なのである。犯罪の加害者の家族を中心に置き、東野は真の家族愛とはいかなるものかという問いを示す。その答えは読者の胸の中にあるのだろう。
【読者からの声】
■二度読めないくらい心に残った作品(33歳・パート)
■本当につらく明かりの見えない人生のなか、それでも懸命に生き抜いていく主人公の姿に心を奪われました(29歳・メーカー勤務)
