6月29日(月)22:00〜に最終回を迎えるドラマ『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)。政界を追い出された元政治家秘書の星野茉莉(黒木華)と、スナックママの月岡あかり(野呂佳代)がタッグを組み、都知事選に打って出る内容だ。
なぜこれほどまでに視聴者の心を掴んでいるのか。『大豆田とわ子と三人の元夫』『エルピス』など数々の話題作を手がけてきた同作プロデューサーの佐野亜裕美さんに製作の舞台裏を聞いた(前後篇の後篇)。
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「バディものとは、孤独と孤独が出会う話である」
――スナックのママが都知事選の候補者になるという発想はどこから生まれたのでしょうか。
実は、あかり(野呂佳代)のキャラクターは当初、今とは全然違う設定でした。もともとはいわゆる「ママタレ」で、最初から知名度を持っている人だったんです。私はリアリストなので、現実的に政治経験のない人が都知事選に出るなら、せめて知名度だけでも最初からあった方がいいんじゃないか、というところからスタートして。
でも、「ドラマというフィクションの中でくらい、もっと夢を見たいし希望が欲しいですよね」と脚本家の蛭田直美さんが言ってくださって、何も持たない人が戦っていく話にしようということで、今のあかりの形が生まれました。
――あかりと茉莉(黒木華)の、お互いに響き合う関係性も素晴らしいです。佐野さんはこれまでも魅力的なバディものを手がけられてきましたが、今回の2人の関係性において、何か新しいアップデートや挑戦はありましたか。
最初に蛭田さんと打ち合わせをしたときに、「バディものとは、孤独と孤独が出会う話である」ということを教えてもらったんです。よくあるバディものって、いわゆる「凸凹コンビ」がぶつかり合いながらお互い変わっていく、という分かりやすい型がありますよね。でも、私は前作の『エルピス』のときに、その型を明確にやめたんです。「なんでそんなステレオタイプにする必要があるのか」という、脚本家の渡辺あやさんの強い言葉もあって。
今回の作品も、ある種その『エルピス』の意識と地続きのところにあるように思います。設定上の決まりごとを一切やめ、人間が持つ当たり前のグラデーションを丁寧に描いていこう、と。最初は全然違う場所から始まった二人のはずなのに、ずっと一緒にいることで雰囲気が似てきている。そういうリアルな空気感が出せたらいいなと思っていました。単純な二項対立で考えずに作ったことは、自分にとっても一つの挑戦でしたね。
「女性3:男性1」の布陣がどう出来上がったか
――出馬会見のシーンであかり陣営の4人が並んだとき、「女性3:男性1」の布陣が、非常に新鮮でした。あのチームのジェンダーバランスについては、当初から意識されていたのでしょうか。
大前提として「女性の物語にしたい」というのは、蛭田さんのところに企画を持っていく前から考えていました。私自身、ここ数年は女性が主人公の作品ばかり手がけているのもあるのですが、今の社会において、女性がどうしても背負わなきゃいけないスティグマ(負の烙印や社会的偏見)って、まだ確実にありますよね。建前としては「男女平等」ということになっていても、実際は全然そうじゃない。
それに対して大声で異を唱えたいというよりは、その理不尽な構造の中で「どうやって生き延びていったらいいか、どうやって戦っていったらいいか」ということを、しばらくはドラマの一つのテーマにしていきたいという思いがずっとあるんです。
私がテレビ業界に入った若い頃は、女性のプロデューサーがすごく少ない時代でした。だからこそ、「自分は女性の代弁者としてドラマを作るんだ」ということを、ある種ルールとして自分に課してきた部分があって。現実の政界を見渡しても、圧倒的に女性議員が少ないじゃないですか。だからこそフィクションの中くらい、女性たちが中心になっていく希望が見たかった。なので、女性を中心に構成することは最初から決めていました。
