「おじさん」であるガラさん(五十嵐)が加わる意味
――そこへ、おじさんである五十嵐(岩谷健司)が加わるわけですね。
メンバーを詰めていく中で、茉莉は政治の知識はあるけれど選挙の実務経験が少ないから、絶対に「選挙の参謀」が必要だという話になりました。今回のドラマの政治監修に入ってくださっている大泉充彦さん(元政治家秘書の男性)が本当に面白くて、すごく頼りになるんです。その着想から、大泉さんをもう少しカジュアルにした「五十嵐」というキャラクターが生まれました。
なんだかんだ言っても、自分のこれまでの人生を振り返ると、チャーミングで心強いおじさんに助けられたことって確実に存在する。なので、五十嵐をまず配置しました。
さらに行政の経験がある人が足りないね、となったときに、「おばさん」の持つ「お節介力」が必要じゃない? という話になって。私自身もだんだん年齢を重ねてきて、最近、歩行者がいる歩道を猛スピードで走っている自転車の若い子に「そこ歩道だよ!」とかつい言っちゃうようになって(笑)。若い頃はそういう人が自分も苦手だったけれど、今思うと、あの行き過ぎたお節介に救われることだってあるな、と。
お節介が排除されていく社会だからこそ、ちゃんとお節介をしてくれる行政経験枠として、蛍(シシド・カフカ)というキャラクターを作りました。もちろんシシドさん自身は全くおばさんではないですが(笑)。ですから、最初から狙って「3対1」のジェンダーバランスにしたわけではなく、一人ひとりの社会的な役割を突き詰めていったら、結果的にあの絵面になったんです。
なぜ対抗馬の流星は「苦労人」なのか?
――茉莉は「二世」であり、対抗する流星(松下洸平)が「成り上がり」という対比が絶妙ですが、この設定の狙いを教えてください。二世議員ではない若手の流星が、党内であそこまでいきなり勝ち上がるのは現実には一番あり得ない「フィクショナルな存在」だと思いますが、あえてそうした理由は何でしょうか。
別に二世議員がみんな悪いと思っているわけではなく、二世だからこそ、最初の地盤固めに無駄な労力を使わず、政策作りに全力を注げるという圧倒的な優位性はあると思います。ただ、閉じた環境の中だけで育つと、どうしても「カップ麺の値段を知らない人」になってしまうのは、ある意味で当然だと思います。でも、個人的には、そういう人に自分たちの代表になってほしいかというと、やっぱり何の代表にもなっていない気がしてしまう。
流星に関しては、最初から最後まですべてを自分の努力と才覚、そして運だけで、何もないところから這い上がってきた男として描きたかった。流星は自分に興味がないと言うか、乱暴な言い方をすると誰かの愛し方を知らないから、愛され方も分からない。そんな彼の孤独に、ちゃんと昴(倉悠貴)という相棒がいてほしい、という願いもありました。
松下洸平さんが演じてくださったことで、流星というキャラクターが後半どんどん躍動していって、逆に役者さんの芝居を見て台本を書き換えていった部分もたくさんあります。
