今のように女性芸人が活躍できる場はなかった

――当時はまだ「女は面白くない」みたいな風潮が全然あるなかで、真夜中にガンガンしゃべりで笑いとっている知らない女性……のちにそれが「久本雅美」であることを知り、そういう女性がいることにとても励まされました。

久本 今もそうですけど、どこの世界でも男性のほうがやっぱり主導権握っていますもんね。でもそんなふうに思ってもらえたなら嬉しいです。オールナイトニッポン2部、本当にやばかったですよね(笑)。

――今では女性芸人も本当に増えましたし、女性が下ネタを言うことも当時と比べたらだいぶ世間も許容してると思います。久本さんは、いわばその分野のパイオニアじゃないですか。いろいろとご苦労も多かったんじゃないかと思うんですが。

久本 そうですね……苦労というより、自分が面白がってることしかできないので。やっぱり自分の器のものしか出ないじゃないですか。たまたまやっていたことが下ネタだったりとか、ちょっと奇抜なことが好きだったんでね。だから苦労というほどではなかったけれど、ものすごい反発はありましたよね、世間から。「女のくせに」とか、「女が出るな」とか、「下品な女だ」とか。ものすごい批判もいただきながら、ありがたいことにお仕事もどんどん増えていく。賛否両論ありましたよね。

 今みたいに女性芸人さんが活躍できる場はなかったですし。(山田)邦子さんは先輩として本当に面白くて、邦子さんワールドがあった。でも私の場合はどちらかというとマニアックというか、舞台の人間という感じで、もちろんタレントでもあるんだけど、ちょっと地下的な、アングラな雰囲気があったんだと思います。

――それから久本さんを見ない日はないというほどテレビを席巻していきます。『笑っていいとも!』ではレギュラーを17年間以上務められていて、これは女性タレント最長だそうです。

久本 タモリさんも所(ジョージ)さんも、(明石家)さんまさんも、(ビート)たけしさんも、本当にビッグな方々と共演させてもらってました。私は……本当に人に恵まれたなと思うんですよ。特に知名度もなかった私がたくさんテレビに出させてもらっていたことで、もしかしたら意地悪されたりすることもあったのかもしれないけど、私が気づいてないだけで。でも共演した皆さんは優しくて温かくて大きくて。私はただ好きなことをやらせていただきながら、それを喜んでくれたり認めていただいたりして。

 山城(新伍)さんと初めてバラエティでご一緒させて頂いた時、最初は「誰だ? この聞いたことも見たこともない奴は」という感じで結構厳しかったんですね。でも私が番組でいつも通りバーってしゃべっていたらすごく気に入ってくれたみたいで「おいおい、いいじゃねえか」ってびっくりされて。あとから「『誰だこの汚い女は?』って思ってたけど気に入ったよ」なんて言ってくださったみたい(笑)。レギュラー番組もご一緒させて頂きました。そういう大物の方々とたくさんご一緒できたことが、本当に勉強になったし、私の財産だと思っています。

久本雅美(ひさもと・まさみ)

1958年7月9日生まれ、大阪府出身。WAHAHA本舗の看板俳優として活躍し、その明るいキャラクターと巧みなトークでバラエティ番組のMCとして親しまれる。代表作に『メレンゲの気持ち』、『秘密のケンミンSHOW極』など。

公演情報

新派・松竹新喜劇 合同喜劇公演
会場:新橋演舞場
日程:2026年5月9日(土)~19日(火)
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202605_enbujo/

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