「進学するか吉本に入るかどっちかだ」

――最初はラジオへの憧れだったんですね。

久本 そうなんですよ。その学校で知り合った、今でも仲の良い友人なんですけど、その子が「東京に行って舞台女優になる」と言っていて。私はその子を応援するつもりで、たまたま東京に行く機会があった時に一緒にいったんです。

 その時に出会ったのが、劇団東京ヴォードヴィルショー。当時とにかくチケットが取れないくらい超人気の笑いの劇団で、その時はちょっと行ってみようかなくらいの軽い気持ち。でも行ったら、ハマったんです。「これだ!!」って。

――どんなところに惹かれたのでしょうか。

久本 大阪育ちですから新喜劇や吉本はずっと見ていたけれど、演劇には特に興味はなかったし、自分は見て笑っている側だと思ってました。

 でも生の舞台に初めて触れて……若い人たちがいろんなパロディをやったり、舞台上でストーリーが展開して、お客さんみんなをゲラゲラ笑わせてる。なんてかっこいいんだろう、なんてすごいんだろう、笑いって本当に素敵だって、まさに雷に打たれたみたいでした。

 漫才やコントとは違う、舞台で喜劇をやっている人たちの輝きに魅せられました。単なる友人の付き添いだったのが、私もその友人と一緒に東京に出て、東京ヴォードヴィルショーに入りました。

――すごい、1本の舞台で人生が決まったと。お母様はなぜ久本さんを「OLには向いていない」と感じたのでしょうか。

久本  なんせ親戚一同がみんなパワフルだから、私はそこまで目立つわけじゃないんですけど(笑)、友達の間ではやっぱり「面白い」と言われていたし、小さい頃からコントを作ってやっていたのを見ていたからでしょうね。

 小・中の担任の先生には「進学するか吉本に入るかどっちかだ」ってずっと言われていたんですよ。それを聞いていた母が、この子はクリエイティブなことをしたほうがいいんじゃないかと思ったんでしょう。さすがに「東京で劇団に入る」と言った時はびっくりしてましたけど。でも最終的には「まあそうか」という感じで背中を押してくれました。

――私が最初に「久本雅美」という方を知ったのは、深夜ラジオだったんです。小学生の時に本当にたまたま久本さんのオールナイトニッポンを耳にして。

久本 え、本当ですか!? 深夜3時~5時の放送なのに、小学生でよく聴いてましたね(笑)。

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