千葉県の温泉をよく知っている某紙の記者さんから「スゴイ温泉があるよ!」と教えてもらったのが、香取市の「天然温泉リゾート 美人の湯 カーニバルヒルズ」だった。

 何がスゴイって、「墨汁みたいな黒さがスゴイ」と言うのだ。どんな施設か気になって訪ねてみた。


20cm下も見えない、鏡面のような黒湯

 「お土産に」といただいた源泉入りのペットボトルを見て、思わず声が出た。まるで墨汁を入れたみたいに真っ黒だ。時間が経つほど黒さが増すのか、それとも最初から成分が濃いのか……。

 首都圏で「黒湯」と呼ばれる温泉は、東京都の蒲田をはじめ、神奈川県の川崎、横浜、鎌倉、千葉の津田沼、養老渓谷、亀山湖など、東京湾岸から千葉中央部の地層に多く湧く。北海道・十勝川の温泉は「モール温泉」とうたっている。

 たとえるなら「コーラやコーヒーの色」。少し薄いところだと「紅茶みたい」といわれることもある。太古の植物由来の腐植質(フミン酸など)が地下水に溶け込んだもので、総じて、肌をしっとりすべすべにしてくれる「美肌の湯」として親しまれている。

 カーニバルヒルズの源泉は、これまで出会った黒湯の中でも群を抜いて黒かった。コーヒーをさらに煮詰めたような、まさに“漆黒”という言葉がぴったりの温泉だ。腐植質の含有量は、温泉水1L当たり約340mg。「モール温泉」をうたう北海道・十勝川温泉などのモール系温泉が数mg~数十mgというから、その10~100倍にもなる計算だ。

 実際に湯船に入ってみると、20~30cm下はもう見えないほど不透明。湯面には壁のポスターが反射して映っていたが、浸かった瞬間、自分の顔の造形がくっきり映り込んでいて驚いた。

 泉質はナトリウム−炭酸水素塩泉。肌をなでると、つるつるとした感触がある。

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