「HYKE」のダウンジャケットを何度も登場させた理由

――杉本さんが影響を受けた、衣装が素晴らしいと思う映像作品を教えてください。

 最近だと、Netflixの『First Love 初恋』です。色にとてもこだわりが感じられて、キャストの方々がブルー系の衣装を多く身につけていらっしゃるのが印象的です。

 私自身も、キャラクターの心情に寄り添いながら服の色を選ぶことが多いのですが、細部まで色味が統一された映像が持つ力を改めて感じました。映像の中で、服の色が登場人物の感情をそっと伝えてくれる、衣装の持つ表現の豊かさを、改めて実感した作品でした。

――杉本さんが映像作品のスタイリングを手がける上で大切にしていることを教えてください。

 もちろん物語にもよるのですが、ドラマを手がけるなら視聴者の方が見て「これ着てみたいな」「こういったコーディネートしてみたいな」と思ってもらえるようなものを選びたいと思っています。そして、役柄に寄り添うことも大切です。ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』では、松たか子さん演じる大豆田とわ子は、キャリアを重ねてきた女性であり、自分の良いと思うものをきちんと選びとる役柄だったので、毎回様々な洋服を着てもらいました。

 一方今回のドラマの文菜は、大豆田とわ子よりも若いですし、彼女と比べて収入も高いわけではないと思うので、あえて「HYKE」のダウンジャケットを何度も登場させています。彼女にとって大切な一着であり、日常の中で自然に着続けているものとして。そうしたリアリティを積み重ねていくことも、意識しています。

杉本学子(すぎもと・のりこ)

東京都出身。文化服装学院卒業後、祐真朋樹氏のアシスタントを経て独立。広告や雑誌を中心に活躍。TBS『大豆田とわ子と三人の元夫』やテレビ朝日『しあわせな結婚』の松たか子さんのスタイリングなどを担当。

『冬のなんかさ、春のなんかね』

日本テレビ系毎週水曜よる10時~放送中
Huluはじめ各種配信サービスで全話配信中

あらすじ
小説家の土田文菜(杉咲花)は近所にあるコインランドリーをよく利用している。なんとなく寂しいその空間が好きなのだ。ある冬の夜、音楽を聴きながら日々持ち歩いている<思考を整理するためのノート>に言葉を書き連ねつつ洗濯が終わるのを待っていると、自分のお店の洗濯乾燥機が壊れてしまって、この日たまたまコインランドリーを利用していた美容師の佐伯ゆきお(成田凌)と出会うことに。文菜のイヤフォンから音漏れしていたミッシェル・ガン・エレファントのファンだというゆきおと他愛もない会話をした文菜は興味本位でゆきおの美容室についていく……。

出演:    杉咲花、成田凌、岡山天音ほか
監督・脚本:今泉力哉

公式HP
https://www.ntv.co.jp/fuyunonankasa/