2015年から相続税が増税されるのをご存じでしょうか。

「相続税を支払うのはお金持ちだけでしょう?」と思っている人も多いかもしれませんが、増税後は両親がマイホームと退職金を持っているだけの普通の家庭にも関係してきます。

 どれくらい増税されるかというと、相続税の基礎控除(相続財産から引くことができる金額)が現行の6割に引き下げられる予定です。

●現行の基礎控除 「5000万円+1000万円×法定相続人の数」
 相続人が1人の場合、基礎控除は6000万円

●15年以降 「3000万円+600万円×法定相続人の数」
 相続人が1人の場合、基礎控除は3600万円

 相続人が1人のケースで、相続財産から6000万円引くことができた基礎控除が、3600万円まで下がってしまうのです。

 都心にマイホームを持っている場合、評価額が1億を超える場合もあります。しかし、自宅の土地の場合、一定の基準を満たすと限度面積の240平米まで(2015年からは330平米に拡大される予定)、土地の評価額を80%減額してくれる特例(小規模宅地等の特例)があります。

 つまり、評価額1億円の土地を相続したとしても、特例を受けることができれば評価は80%オフの2000万円になるのです。特例を受けることができる相続人は配偶者、同居親族、持ち家のない親族、お財布が一緒の親族などに限られます(配偶者以外が相続する場合は「申告期限まで売らない」などの要件あり)。

 特例を活用しても相続税がかかりそうな人は、税理士や税理士資格を持つファイナンシャル・プランナーなどに相談をして、生前贈与や生命保険の活用を検討してもよいでしょう。

2014.12.01(月)
文=花輪陽子
写真=eelnosiva(shutterstock)